2017年9月4日月曜日

「だんなデスノート」、結婚なんかするもんじゃないと教えてくれる



◆『現代ビジネス』2017年9月2日配信
【夫に死んでほしい妻たちの「だんなデスノート」が恐ろしい】

◆『プレジデントオンライン』2017年9月2日配信
【死んだ後に「悪口を言われる人」の共通点】

『だんなデスノート』とは「モラハラや浮気、容姿の劣化といった夫への不満をウェブ上でぶちまける、妻たちのオアシス」(本文より)である。不満をどうぶちまけるかというと、デスノートであるので、「旦那に死んでほしい」と願う。一部紹介されている投稿をご覧いただきたい。



〈わたしの人生最大の喜びはアイツの無様な屍を前に大笑いしながら家族とハイタッチする事です〉

〈朝起きたらクソヤロウが冷たく死んでますように〉

〈毎日、警察からの電話を楽しみにしてるんだから。死ねーーーーーーーーーーーーーー! 死体で帰って来い! 赤飯炊いてやるから! 今日こそ帰って来るな!〉



「死ねーーーーーーーーーーーーーー!」は豊田真由子(42)ふうに叫ぶのであろう。そして帰ってくるなら死体で帰ってこい!! もし無事なら今日こそ帰ってくるな!! というわけだ。

ベッドのなかでわれ知らず冷たいクソになっている朝、そしてたとえば大笑いする家族の足元に転がり無言で見上げるろくろ首みたいな自殺体、うむ、ただの憂さ晴らしや冗談では片付けられない凄まじさである。

『だんなデスノート』とは、つまり夫に不満をもつ妻たちのコミュニティサイトであると同時に、呪殺の願をかける祭壇でもある。ここで「夫よ、くたばれ!!」と発言すれば、それは譬えではなく掛け値なく「死ね!!」といっているのである。こんな記述もある。

「『永眠』と題したその投稿には〈やっと旦那が死んでくれました。お酒を飲み、そのまま倒れ、そのまま逝きました〉とある。この内容を受け、『本当に羨ましい』『おめでとうございます』『お疲れさまでした』と祝福の声が殺到した。」

また、凄まじい。彼女たちにとって夫のポックリ死はこのうえもない僥倖であり人生の理想、天の配剤、棚からぼた餅である。そして毎日なに食わぬ顔で夫とともに暮らしながら、事故や急な病を待ちわびる。

唐突だけれども、寝たきりになってから4人も子どもをもうけた男がいた、という知り合いから聞いた話を思い出した。またロクでもないことをいろいろ考えた。みなさんもぜひ、なぜこの男にそんなことができたのか、ヒマなときにお考えいただきたい。

『プレジデントオンライン』の【死んだ後に「悪口を言われる人」の共通点】によれば、多少は嫌われ憎まれていた肉親であっても、死んでしまえば一転していい思い出に変化する傾向があるらしい。『だんなデスノート』に集う方々にはとんでもなく甘っちょろいお話かもしれないけれども。

で、この記事によると結局「死んだ後に『悪口を言われる人』の共通点」は、生前に家族をまったく顧みなかった場合、ということになる。あたりまえすぎて困るだん。こんなことも書いてある。

「愛の反対は憎しみではなく無関心、とはよく言われる。忘れ去られてしまうより、憎まれたほうがまだ幸せということか。自分の胸に手を当てて、じっくり考えてみたい」

なにをいっておるのか。こんなものは中身のないレトリックに決まっておる。生きているうちなら憎まれず無関心に放っておかれたほうがいいし、すでに死んでしまっているとしたら、それ以上憎まれるよりは忘れ去られたほうがまだましに決まっている。

だいたい一緒に生活をしているお互いに対して無関心でいられるなどということがありえるのであろうか? あー、わざわざ読んでみたのにガックシである。甘っちょろい。

ただ、妻や夫が互いに嫌悪や憎しみを抱きこそすれ無関心でい続けることはほとんど不可能にしても、子どもの場合には父親との関係が築けない、父親への無関心に陥る、ということは容易にあり得る。

母親から父親の悪口ばかりを聞かされて育てば、子どもは自然に父親から遠ざかっていく。これで子どもたちとの関係を築けないまま生涯を終える父親は案外多いだろうなあ、と私は思う。身から出たサビ? ともあれこれで妻はすでに半分くらいは復讐を成就させているのではないか? なんとかやさしくしてもらえんじゃろか。

妻は妻で激しく抑圧されているのであろうこともわかる。家事労働は前進することのない永久運動みたいなもので、繰り返し繰り返し、延々と続く。家庭内の権力はおおむね夫に握られ、人間関係の上位に位置するのもほとんどの場合夫である。どんなに仲のよい夫婦であっても、上位下位の構造から逃れられない。

そんなこんなで、どんなに不満や不平があっても妻は夫に面と向かってそれを口にするのをためらう。それどころか機嫌を損ねると暴力を振るわれたり、少なくともおもしろくないことにはなるので、逆に気をつかったりさえする。相談ごとがあっても、なにがあっても胸に溜め込む。

このごろ頭脳労働、肉体労働と並んで感情労働として語られるようになった部分の負担が大きいのだ。そう、家庭を維持していくのは重労働なのである。

「『感情労働』とは、アメリカの社会学者A.R.ホックシールドが提唱した働き方の概念で、感情の抑制や鈍麻(どんま)、緊張、忍耐などを不可欠の職務要素とする労働のことです。体力を使って対価を得る『肉体労働』やアイデアなどを提供する『頭脳労働』に対して、感情労働に従事する者はつねに自分自身の感情をコントロールし、相手に合わせた言葉や態度で応対することが求められます。」(コトバンク)

『だんなデスノート』。名前は軽くても中身も背景もそうとうヘヴィであった。気分転換というか目先を変えてみようと、たぶん立場が反対のデスノートもあるはずだと検索してみたら『嫁デスノート』というのがでてきた。最初に出てきた書き込みがこれである。



「 朝、早く起きて食事を作ってくれてありがとう。
仕事で遅く帰って、静かにしてくれてありがとうと言ってくれてありがとう。土曜・日曜と食事を作らせてくれてありがとう。
安らぎの多い家庭で良かったです。
はやく、貴女のよい性格に気付いてください!」



泣ける、と思ったら「必ず逆に」書き込めと指示がある。なぜそんなメンドくさいことを……。これだから嫌われるということがわからないのであろうか?

あ、『俺の嫁が可愛い』という少し陽気に気のふれたようなサイトもあった。冒頭の書き込みがこれ。



「我が家は子育てもひと段落。
嫁も正社員で料理と家事。自治会の仕事もぼちぼち。
俺も家事は少しは手伝うけど、やっぱり仕事中心の俺。。
文句も言わずテキパキやる嫁。毎日毎日。
結婚して10年以上たつ。
毎日俺の役割は嫁の小さな小さな愚痴を聞くこと・・・
きつい愚痴になりすぎず、聞き手の気持ちも考えてしゃべってると感心してますよ。
毎日毎日、姉さん女房のあなたの旦那でよかったと思う日々。
ちょっと綺麗にしてる嫁、ちょっと楽しい毎日を意識する嫁。
小さなちょっとがあなたの素敵なところです。
愛してます」



あ、そしてここにも「二次元の嫁の自慢、惚気ももちろん投稿OKです」との記述が。妄想もOKらしい。哀しすぎる。(了)





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