ついに稲垣吾郎(43)、草彅剛(43)、香取慎吾(40)の3人がSMAPの元チーフマネージャー飯島三智(59)との合流を果した。ファンサイト「新しい地図」には、これから未来に向けて進もうとする決意と希望が高らかに謳われている。反転したオリエンテーションマークのビジュアルがたいへん印象的だ。
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そこでヒマな私も反転して、今日のこの事態をジャニーズ事務所の側から見てみようと思うのである。創業55年目にしての一大事にメリー喜多川副社長(90)はどう反応するのか? 実権をもたないジャニー喜多川社長(85)はなにを思うのか? 90歳の乙女心、85歳のをのこの本懐はいかに? である。
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えっと、まず、状況を客観的に見てみよう。「芸能界55年体制」というわけがわかったようなわからないような言葉がある。一般に「55年体制」といえば、自民党が与党第1党、社会党が野党第1党として政治運営をしてきた仕組みのことである。自民党・社会党ともに発足したのが1955年であったところからこの呼び名になっている。
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「芸能界55年体制」は1955年に何かがあったということではなく、自民党と社会党のように戦後いくつかの大手プロダクションが並立するその第1世代が出そろった状態をいうのであろう。具体的には以下の5社らしい。後発のバーニングプロダクションが加えられているのは豪腕が権力を再配分し、さらに歴史を修正したということだ。
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渡辺プロダクション(1959年設立)
ホリプロダクション(1963年設立)
田辺エージェンシー(1966年創業)
ジャニーズ事務所(1962年創業)
バーニングプロダクション(1971設立)
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これとは別に芸能界のドン、といわれる方々もいて、ここには以下4人が名を連ねる。
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田辺エージェンシー:田邊昭知(78)
ジャニーズ事務所:ジャニー喜多川(85)
バーニングプロダクション:周防郁雄(76)
オスカープロモーション:古賀誠一(75)
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みなさん企業としてはおよそ半世紀を生き、人としてももう4分の3世紀を生きたことになる。芸能界はいまだに戦後第1世代が牛耳る世界なのである。そのなかでもジャニーズ事務所のマネージメントのトップ・メリー喜多川は、ほかの方々よりもおよそ10歳ほども年上だ。
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「芸能界55年体制」は、渡辺プロダクションをその先駆けとして、レコード会社とテレビ局を掌握することで覇権を築いてきた。しかしレコード会社もテレビ局もすでに芸能メディアとしての弱体化と疲弊が目立つ。そのことはたとえばCDの売り上げやテレビの視聴率に如実に現れているわけで、メリー喜多川にも届いていないわけがない。
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パワーダウンがはじまると、いままで自分たちに忖度して阿吽の呼吸で提灯記事を書いてくれていたマスコミが10社から5社になり、5社から3社になる、ということが起きる。そこにインターネットの普及も影響して所属タレントのスキャンダルがダダ漏れになる、自分に関する批判的な記事が出る、ヤバいわよ、と肌で感じているはずだ。
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「芸能界55年体制」が自壊しはじめているのである。時代においていかれている。
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そしてついに、先ほどの言葉でいえば自分から剥ぎ取られた権力の再配分がはじまって、その最右翼である飯島三智(59)の株式会社CULENがいよいよ実体を現したのだ。しかもメリー喜多川からしてみれば新世代の象徴のようなネットやSNSを舞台に選んで。すでに旧世代であることの悲哀をひしひしと味あわされているに違いない。
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メリー喜多川やジャニーズ事務所への監視の目はまだまだきっついから、CULENに対して打てる手は限られる。とりわけマスコミを使ってのネガティブキャンペーンはやりにくい。すでに手のうちは知られていて、いまさらそういう汚い手を使うのはいかがなものか、という空気も出てきた。もちろんマスコミとしては勝ち馬に乗りたい計算も働く。CULENを選ぶところもあるだろう。
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これまでのようにはいかないし、ともかく去年の夏、SMAPが解散を決めたときのように鬼ババア!! の大合唱がまた起きてはたまらない。そんなものが耳に入ったら可愛い孫になんと思われるか。
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で、ここはとにかく全力を挙げて中居正広(45)と木村拓哉(44)の離脱を阻止することに賭けると思われるのである。木村拓哉に心配は無用のような気もするけれども、万一CULENにSMAPの5人が再結集したりなどすれば目も当てられない。森且行(43)もそのうち合流するであろう。Jr.の子たちまで移動をはじめれば力関係は完全に逆転する。そこに到るか到らないかのキーマンが中居正広である。
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金ならある。「芸能界55年体制」のなかでも、芸能界のドンたちと比べても、ダントツに金ならあるんや!! 金や金。娘の藤島ジュリー景子(51)との折り合いは悪いわ本流にはジャニー喜多川のお気に入り、滝沢秀明(35)がいるわで、中居正広に「経営幹部」という餌は使えない。信頼関係なんかあるわけない。金や金!! マスコミ対策も万全にしてやってや!! かくしてジャニーズ内の中居正広は別格扱いになる。木村拓哉は、まあまあそのままでよろし。
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それやこれやでジャニーズ事務所が大きく動くとすれば、それはプラス方向、責め、おっと間違いた(by荒木経惟)攻めの方向ではなくて守り、手じまいの方向にすすむと思われる。
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メリー喜多川が事務所の運営上もっとも気にかけているのは娘の藤島ジュリー景子にいかにしてよりよく事業(資産)を継承していくか、ということであろう。そして藤島ジュリー景子の経営手腕あるいは芸能プロモーターとしての実力がそれほどのものではないことはよくわかっているはずだ。プロダクション経営など、ほんとうのところ本人にとっては重荷なだけかもしれない。
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というわけで、ジャニー喜多川が元気なうちは手をつけられないけれども、とりあえずなんだかんだ理由を付けて芸能部門と資産管理部門に切り分けておくくらいのことはするであろう。
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みんながしあわせになってくれればいい、とのんびりしたことをいっているジャニー喜多川は、自分と時代の動きについてどう感じているのであろう? ジャニー喜多川が美しい、魅力的だと感じる少年たちは、あいかわらずその同世代の少女たちにも魅力的なのであろうか?
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うむ。自分でいっておいて恐縮だけれども、そこにはたぶんあまり齟齬は生まれていないであろうと思う。そしてそういう少年たちと仕事をしていればジャニー喜多川はしあわせなのである。ジャニーズとSMAPの葛藤にしても、ジャニー喜多川にしてみれば、ときどきウッカリ口を出して姉に叱られるという程度のものでしかないであろう。
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「株式会社ジェイ・ドリーム」の設立で飯島三智がジャニーズ事務所を退所するひとつのきっかけとなるタネを播いたにもかかわらず、だからそれでどうということもない。頬っかむりを続けていられればそれでいい。このをのこは夢の世界に住んでいる。
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「進化」とは遺伝子の変化によって形質を変えていく現象である。したがって同じ個体のなかで進化が起こることはありえない。進化には世代交代が必要なのである。であるから「もっと進化して、きっとまた必ずこの場所に戻ってきまっす!!」などというセリフはとんだお笑いぐさなのである。わかってるでしょ。
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おそらく「芸能界55年体制」もその轍を踏む。世代交代を経て新しい時代へ進む。でもって進化というとなんだかいいことづくめのような気がするけれども、淘汰される側からすればこれほど残酷なことはない。新種はあたまりえのように生命を謳歌しているのに、寒さにやられる、病気にやられる、餌がなくなる、皆殺しにされて餌にされる……、というような目に遭って次々に消えていくのである。
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芸能界の進化を促す環境の変化はなにかといえば、社会全体のリーガルな意識の向上と、遅くとも年内には出されるといわれている公正取引委員会の勧告である。移籍や仕事の選択の自由を認めない「奴隷契約」は排除されるであろう。プロダクションがタレントに対して圧倒的に優位に立つことはもうできなくなる。
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5人の弁護士たちによる芸能人の権利擁護団体「日本エンターテイナーライツ協会」が立ち上がったことも大きい。芸能プロダクションの顧問弁護士はとうぜんプロダクションの利益を第一義に考えるから、そこに所属する芸能人の利益が最優先されるとは限らないのだ。たとえば弁護士に話したことがプロダクション側に筒抜けになるとか。
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こうして法律が厳密に適用されるようになっていくと、“干す”とか“バーター”などという行為も独占禁止法に引っかかる可能性が出てくる。これまでは「芸能界55年体制」の結束が強くて正面から闘いを挑むにはそうとうな勇気が必要であったけれども、そうした状況も改善されていくであろう。
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それやこれやで私はメリー喜多川は穏便な、現状維持から手じまいの方向へ舵を切ると思う。ここでまたさらにドタバタと闘いを繰り返したとして、果たしてその最後まで立ち会えるかどうかもわからない。恨みや憎しみをまとったままの事務所を娘に渡すのも気が引けるであろう。
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こうした立場にいるのはなにもジャニーズ事務所ばかりではない。長期的スパンで見て、ここから生き残るにはタレントから個々の業務を請け負うエージェンシー方式がひとつの道になる。しかしそうなるとタレント1人あたりの利幅は大きく減るから、実際に生き残れるのはおそらく現状のプロダクションの10分の1程度の数になるのではないか。厳しい競争になるけれども、これが進化というものだ。
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木村拓哉がメンバーに復帰するには、木村拓哉個人にもうひと騒動必要だ。コアがないのでメリー喜多川よりもこちらのほうが読みづらい。(了)
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