ひっさしぶりに演歌を聴いていた。ド演歌である。一節太郎(76)「浪曲子守唄」、殿さまキングス「なみだの操」、前川清(69)とクールファイブ「そして 神戸」、ぴんから兄弟の「女のみち」、うぅぶなぁぁんぁわたーしぃいいいがぁー。
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Japanese No.1 Soul Musicといえば「浪曲子守唄」か丸山明宏(美輪明宏・82)の「ヨイトマケの唄」という土木系2曲のどちらかというのが私の定説(byライフスペース、高橋弘二・79)なのだけれども、「女のみち」もナイスである。
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声も感情も全開にはせず若干抑え気味に終始するところが、大の男が切ない恋心、上司への恨みつらみ、家庭での憤懣、果ては貧乏のやるせなさまでなんでもかんでも叩き込んで唸るのにピッタシグゥなのである。そしてこうしてすべての切なさ・悲しさ・やるせなさをすべて1曲でうつし取るのが日本演歌の真骨頂なのである。
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そういえば忘れもしない1995年1月17日、まだまだ幼なかった私は通りがかりのスナックに飛び込んでなにを思ったのかカラオケで「そして 神戸」を歌ったのである。神戸 泣いてどうなるのか 捨てられたわが身が 惨めになるだけ。
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「止めな……、止めなよ……」という連れの脅えた声が耳に入るまで、その日の朝、阪神・淡路大震災が発生し、夜になっても被害が拡大し続けていることがなぜかアタマからすっぽり消えていたのである。昼間はずっと首っ引きでテレビニュースを見ていたのに。
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しかもカラオケはふだんはほとんど歌わないのである。このときのことはいまでも自分自身で理解できていなくて、ほんとうに魔が差したとでもいいようがないのである。そして「魔」はほんとうにどこかにいるのかもしれない、と思ったりする。責任をなすりつけるわけではないけれども。
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演歌を聴いたきっかけはこんなニュースを見つけたからである。
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◆『Record China』2017年10月29日配信
【「欧州では日本の演歌が過大評価されている」の主張に、韓国ネットでは“元祖”をめぐる論争も】
《2017年10月27日、韓国のインターネット掲示板にこのほど、「日本の演歌が欧州で過大評価されている」と題するスレッドが立ち、話題を集めている。
スレッド主は「欧州では日本の演歌がクラシックと同格の音楽ジャンルのように考えられている」と主張し、「非常に奥深い音楽としてテレビの文化チャンネルでも紹介され、日本で演歌を学んだ欧州の歌手たちが他のジャンルの歌手たちと共演する姿を見て驚いた」と説明している。
その上で「韓国の音楽のような下品なアレンジをしないというだけで、日本の演歌も流行歌に過ぎないのに、欧州の人たちの耳には高級な音楽に聴こえるようだ」と不満げにつづっている。
このスレッドに、他のネットユーザーからは「欧州の人たちは昔から日本風が好きだった。その歴史は長いよ」「演歌はそれなりに続いてきた日本の音楽ジャンルの1つ。自分の特色をちゃんと守っている日本がうらやましいね」など、欧州で日本の演歌が高く評価されていることに納得する声が寄せられている。
中には「日本は何てことない文化をリメイクする天才。忍者もそう。文化の数は韓国や中国の方がはるかに多いのに、世界に知られているものはほとんどない」と嘆く声も。
そのほか、「文化力とは国力だ」と主張するユーザーや、「私たちが欧州の音楽を聴くときと同じ感覚かな?」「日本が豊かな国だから日本文化が高級なものに見えるのだろう」と推測するユーザー、「大衆に受け入れられているの?演歌を聴いているのはごく一部の人では?」と指摘するユーザーもみられた。
また、「トロットのまねなのに」「日本の演歌は偽物」「トロットも日本の影響を大きく受けている」など、似た性格を持つことから韓国演歌とも言われている韓国の大衆楽曲ジャンル「トロット」と日本の演歌の「元祖」をめぐる論争もみられた。》
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「非常に奥深い音楽としてテレビの文化チャンネルでも紹介され、日本で演歌を学んだ欧州の歌手たちが他のジャンルの歌手たちと共演する姿を見て驚いた」などというお話、聞いたことある? 演歌を歌う欧州の歌手たちって誰のこと? チャダはインド人だしジェロはアメリカ人だ。
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で、そもそも日本の演歌は韓国の大衆音楽の影響を強く受けているはずなのに、韓国の人々がその本家としての矜持を示さず、むしろ全体としては「演歌はそれなりに続いてきた日本の音楽ジャンルの1つ。自分の特色をちゃんと守っている日本がうらやましいね」と、日本独自のものとして扱うコメントが多いのはさらに意外である。
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そういえば演歌の父と呼ばれる古賀政男が朝鮮民族の人であったかどうかはよくわからないけれども、幼少期から京城善隣商業学校を卒業するまで朝鮮に暮らしていたことは事実である。あの、1970年代からあった演歌の日韓本家論争はどこへいったのであろう?
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こうした疑問は、ようやく記事の最後でわずかに「似た性格を持つことから韓国演歌とも言われている韓国の大衆楽曲ジャンル『トロット』と日本の演歌の「元祖」をめぐる論争もみられた。」とふれられているだけである。
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トロットというものを聴いたことがなかったので、この機会にYouTubeで聴いてみた。「韓国のトロット歌手 ジウォン」とだけ紹介されていて曲名不明の唄。ヨナ抜き音階、エイトビート。まるで日本の演歌である。超新星も曲名の紹介がないけれどもなにか歌っておった。日本語の歌詞を乗せればそのまま日本の演歌だ。
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もちろん現在のトロットと演歌は相互に影響しあっているであろうから、これだけでどちらが先だの本家だの元祖だのいうことはできない。ただ世界的に見ればトロットと演歌は言語が違うだけで同じテリトリーにいる、ということはできるであろう。
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なのになぜこのような記事が書かれるのか、私にはとても不思議であり不快でもある。(了)
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