2017年11月27日月曜日

中国で旧日本帝国軍の軍服を着るジョークが、ただいま微妙な感じ



また中国から旧日本帝国軍コスプレのニュースが入ってきた。旧日本帝国軍の軍服が彼の地で遊び道具にされるのはあまり気持のいいものではない。しかしこれはひとえに日本の戦争への反省と断罪が中途半端だったからであろう。と、私は思う。戦後、重大な戦争犯罪人たちがこれほど伸び伸びと人生を謳歌した国を私はほかに知らない。



とりあえずそのニュースを見てみよう。





◆『Record China』2017年10月11日配信
【結婚式で新郎が旧日本軍の軍服着用か、ネットから猛バッシング―中国】

《 2017年11月10日、鳳凰網など複数の中国メディアは、中国で行われたある結婚式の動画に、ネットユーザーから非難の声が噴出したと報じた。

紹介された動画は、雲南省大理市にある湖付近の屋外で最近行われた結婚式の様子だという。旧日本軍の軍服を模した格好の新郎がのしのしと歩き、正面にいる純白のウエディングドレスの新婦のもとに近づいていく。そして新婦の前に立つと「よし、花姑娘(ホアグーニャン)」と叫んで新婦の肩に手を回し、連れ去ろうとする。そこで周囲から歓声が起こり、新郎はギャラリーの方を向いて頭を下げながら再び何かを叫んでいる。

「花姑娘」は、中国大陸にいた日本兵がしばしば用いていたとされる言葉で、若い娘を意味する。昨今の「抗日神ドラマ」でも、村落を襲撃して物を略奪し、若い娘を捕まえようとする日本兵役のセリフとしてよく使われているようだ。

この動画を見た中国のネットユーザーからは、「頭が悪すぎる!」「低俗極まりない」「侮辱だ」「実に気分が悪い」「村のお年寄りたちは憤慨していることだろう」「民族の恥を娯楽として消費するのは、世界を見ても中国人だけだろう」といった非難のコメントが大量に寄せられた。

また、「これは抗日神ドラマのせいだ!」「エンタメ界とメディア界の強力な宣伝で、悲惨な歴史が喜劇に変えられてしまった」「もう放送禁止にせよ」など、荒唐無稽な演出に批判が集まっている抗日ドラマを批判する意見も見られた。このほか、「ドイツでナチスの格好をしてナチス式の敬礼で結婚式をしてみれば?」「これがドイツだったら刑事責任を問われる」といった声もあり、中国でもこのような行為に対する罰則を設けるべきだとの主張も見られた。》





中国雲南省にはむかしから披露宴の前に花嫁がさらわれたという小芝居を打つ風習があるらしい。それに参席した体験談が最近ネットで読んだ旅行記にもあった。それは披露宴当日、花嫁の友人たちが花嫁を隠してしまい、その彼女を花婿が慌てて探しまわる、という設定である。文中“花婿が花嫁をさらう儀式”という表現があったので、あるいはこれはアレンジされたカタチなのかもしれない。



今回のニュースはそのアレンジに旧日本帝国軍が加わったわけである。戦争の記憶が風化したといえばいいのか、苦しい経験をよく克服したというべきか、こちらからではよくわからない。



「頭が悪すぎる!」「低俗極まりない」「侮辱だ」「実に気分が悪い」「村のお年寄りたちは憤慨していることだろう」「民族の恥を娯楽として消費するのは、世界を見ても中国人だけだろう」と紹介されている中国のネットユーザーの声もまた判断が難しく、考えようによっては恐ろしい。



たとえば「民族の恥を娯楽として消費するのは、世界を見ても中国人だけだろう」という文言があるけれども、これは旧日本帝国軍の侵略を許してしまったことを“民族の恥”といっているのであろうか? しかしかつて侵略された側としては侵略してきた者たちの軍服を目のあたりにしたとき、恥ずかしさよりもまずは怒りの記憶や憎悪、嫌悪感が先にくるのではないのか?



そういう疑いを含みつつ改めてこれらの文言を眺めると、どうも日本人目線、日本人としてのバイアスがかかった報告のようにも思えるのである。なににかぎらず編集という作業がかなり恣意的に行われているという実感がしみついているのでそう思うのかもしれないけれども。



疑いは、もうひとつの旧日本帝国軍コスプレのニュースをご覧いただけばさらに深まる。以前にもご紹介したことがあるけれどもコレである。





◆『Techinsight』2017年9月3日配信
【旧日本兵の軍服を着た男性、駅前で「バカヤロー」と叫ぶ(中国)】

《 このほど中国で、人通りの多い駅前で旧日本兵の恰好をした男性がパフォーマンスを繰り広げ、警察に身柄を拘束された。『South China Morning Post』が伝えている。

さる8月13日に、中国南部にある高速鉄道の駅前で第二次世界大戦当時の大日本帝国陸軍の軍服を来た男性がいた。この男性は刀のような物を振り回し、慣れない発音で「バッカヤロー!」と繰り返し叫んでいた。傍らでもう一人の男性がその様子をニヤニヤしながら撮影している。

『South China Morning Post』では、この2人の男性は広西チワン族自治区の賓陽県出身と報じている。警察は彼らが社会秩序を乱すという理由で10日間身柄を拘束。さらには地元の人々を激怒させてしまったようだ。

警察の調書によると、およそ300人もの人々が彼らの自宅に集まり「打ちのめしてやる!」と怒りを爆発させたという。当時、集まった群衆を退散させるために警察を総動員するほどの大きな騒ぎとなった。

「なぜこのような危険な真似をしたのか?」という警察の事情聴取に対し、2人は「インターネット上で有名になりたかった」と答えている。

しかし彼らの自宅を取り囲んだ300人の群衆を擁護するネチズンのコメントほとんど見られていない。ある人は「裸でもあるまいし、どんな服装をしようと彼らの自由です。それにひきかえ乱暴な群衆達はそれで愛国心を持っていると言えるの?」とコメントしている。

 〈— 略 —〉》





コスプレ男の自宅を取り囲んだ群衆に対して「裸でもあるまいし、どんな服装をしようと彼らの自由です。それにひきかえ乱暴な群衆達はそれで愛国心を持っていると言えるの?」なのである。雲南省の結婚式のようすを知ったネットユーザーとはほとんど真逆の反応である。こちらの群衆はいささかの乱暴狼藉を働いたのかもしれないけれども、奇妙なことだ。よくわからない。



よくわからないけれども、こうしたよくわからなさが日本と中国に住む人々の相互理解を妨げていることはよくわかる。



旧日本帝国軍の軍服を着て面白がる現象それ自体は、私には見事な経済発展を遂げた中国の勝ちどき、あるいは戦勝品の誇示のように見える。戦後70年経ってようやく完全に日本を打ち負かしたのだ。よろこびは大きいであろう。それはそれでよくわかる。



中国はこの20年ですべてが変わったといわれるくらいに大きな変貌を遂げた。若い世代に戦争のこだわりはほとんどないとも聞く。ただ困るのは領土拡張主義に対する批判を受けたときに“ずっとやられてきたことをやりかえしているだけだ”というような発言をするオトナがいることだ。



たしかにそれはそうであるけれども自国の利害に直接関係するこういうところにより強く戦争の記憶の尾がいつまでも作用する。早くアタマを冷やして冷静な思考を取り戻していただきたいものだと思う。



寒さにかまけて外出を控えていたら脚がみるみる萎えて生まれたてのバンビ状態になってきた。ええい! こなくそっ!! こんなザマでは情けないのであります!!(了)




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