タレントを理不尽に縛り付けるいわゆる“奴隷契約”などについて調査・検討をすすめていた公正取引委員会が、独占禁止法に違反する恐れがあるという結論を2月に公表することになった。民放各局はこうした動きの存在すら一切報じていないけれども、限りなくダークで前近代的な業界の仕組みにとうとうプチッと穴が開けられてしまうわけである。
*
民放各局が知らぬふりを決め込んでいるのは、たとえば有力芸能事務所からの圧力あるいは忖度によって特定のタレントを出演させなかったりなどしてきた共犯関係にあるからだ
*
*
*
◆『朝日新聞デジタル』2018年1月19日配信
【芸能人らの移籍制限「違法の恐れ」 公取委、見解公表へ】
《 スポーツ選手や芸能タレントなどフリーランスの働き方をする人に対して、不当な移籍制限などを一方的に課すことは、独占禁止法違反にあたる恐れがあると、公正取引委員会の有識者会議が示す方針を固めたことがわかった。
公取委は2月にも結論を公表し、適切な人材獲得競争を促す。
IT分野を含めて近年、個人事業主として雇い主の企業と契約を交わすフリーランスの働き方が増えている。ただ、こうした契約は、労働法と独禁法が適用されにくい空白地帯となるケースが多く、これまで十分な権利保障がなされてこなかった。
スポーツ選手が他チームに移籍する際や、芸能タレントが所属の事務所を辞める際に、他の所属先と契約を結べないことなどが問題になることがあった。
公取委は、契約によってこうした制約が生じることについて、独禁法違反(優越的地位の乱用)などにあたるかを検討するため、昨年に有識者会議を立ち上げた。各業界に書面調査やヒアリングを重ねてきた。
有識者会議はこれまでの議論の結果、古くからのこうした契約慣行を問題視。一方で、スポーツのチーム側や芸能事務所が育成にかけた費用を回収することは正当化できるとして、業界内でどういった補償が適切か検討するよう求める方針だ。
芸能事務所からの独立や移籍をめぐっては、最近ではNHKドラマ「あまちゃん」で人気となったのんさんが独立の際にトラブルとなったケースなどがある。》
*
*
*
独占禁止法違反だと認定されるとどうなるかというと、まずはそれはお止めなさいという「排除措置命令」、ときには罰金も納めなさいという「課徴金納付命令」が下される。「行政処分」といわれるものである。
*
でもってこの「行政処分」に従わなかったり何度も違反を繰り返したりで改善が認められない場合には、刑事処分を求めて告発される。この過程で必要であれば臨検、捜索または差押えも行われる。
*
これらが公正取引委員会の準司法的権限といわれるものである。強制力はたいへん強いのである。独占禁止法と同時に所管している不当表示防止法によって食品や化粧品に排除命令が出されたなどとは比較的よく聞くお話であろう。
*
さてさて、いよいよ独占禁止法の網をかけての“奴隷契約”の指導・取り締まりがはじまる。どんなことになるのであろう? とりあえず楽しみなのは先手を打って早々に問題の手じまいをしようとする事務所が現れてくるであろうことだ。
*
トラブルが進行中のローラ(27)とLIBERAや、まだ全面的に解決ずみとはいえないのん(24)とレプロエンタテイメントなどにその兆候が看て取れることになるのであろう。
*
具体的には、たとえばのんの場合ならレプロエンタテイメントの所属タレントリストからようやく「能年玲奈」の名前が外されるとか、ローラの場合なら新事務所設立のニュースが遅まきながらおおっぴらに報道されはじめるとか。元NMB48 & 吉本の渡辺美優紀(24)もただいまホサれ中らしいから要注目。
*
あ、デビューから13年間も給料が上がらず、さらに減額や不払いまであると2017年に西山茉希(32)に告発されたオフィスエムアンドビーも、いちおうチカラづくで解決したとはいえまだまだホットである。
*
こうした事例を挙げはじめればキリがない。過去にこの手のトラブルを起こしていない芸能事務所を探し出すほうが難しいくらい、日本の芸能界において“奴隷契約”は常態化していたのである。
*
その大元といえる組織がある。(社)日本音楽事業者協会である。もっとも注目しなければいけないのはここであろう。タレント側からはすぐに契約を解除できないなど事務所側に圧倒的に有利な内容の、そして多くの芸能事務所がひな形として活用しているいわゆる「統一契約書」を作成したのもここだ。ちなみに歴代会長の座には芸能界の大物がついており、現在はホリプロの会長兼社長・堀義貴(51)である。
*
「統一契約書」によればタレントは労働者として雇用されているのではなく、「業務提携契約」を結ぶ関係にすぎないとされている。つまり長時間労働などを監視する労働基準法の枠から外れていることになる。それは日本音楽事業者協会が意図的に狙ってのことであろう。
*
しかもこれを問題視した厚生労働省が2016年5月に音事協などの業界団体に対して「芸能人も労働者として扱い、雇用契約と見なすこともあり得る」という認識を示した文書を配布したにもかかわらず、いままでなんの対応も取られてこなかった。なんとなくフテー野郎な感じの協会である。
*
しかし今回下された独占禁止法違反にあたる怖れがあるという判断は、労働者であれ請け負い業者であれ、そして芸能タレントであれスポーツ選手であれ、フリーランスの働き方をする人に対して不当な移籍制限などを一方的に課すことはいけない、許されない、といっているわけである。
*
もちろん独占禁止法の範囲だけではあまりにも低く抑えられている報酬や著作権など諸権利の帰属の問題が解決するわけではない。しかしタレントのより自由な移籍や独立(=移動)が可能になれば事務所はおのずと活躍に見合った待遇を提供しなければならなくなるし、それはひいてはどんぶり勘定の経営、前近代的経営からの脱皮をうながす。
*
また独占禁止法の観点から見れば、逆に他の事務所に所属するタレントの非合理な排斥、つまり合理的な理由なくしてのテレビ番組への登用阻止なども問題とされるわけである。所属タレントを巡るこうした裏側でのドロドロした駆け引きさえなくなれば芸能界への参入ハードルは一気に下がる。
*
さらに、そもそも事務所間でのタレントの引き抜き禁止を大きな目的として設立された音楽事業者組合の存在根拠自体が大きく損なわれる。これから加盟各社は公正・健全な競争に励む正真正銘のライバル同士とならなければならないのだ。独占禁止法の適用は日本芸能界にとってとてつもなく大きな爆弾なのである。
*
さて、日本音楽事業者協会がどう対応するのか見ものだ。(了)
OCN モバイル ONE データ通信専用SIM 500kbpsコース
CMで話題のコスメやサプリがSALE中☆
【DHC】最大70%OFFのSALE開催中!
0 件のコメント:
コメントを投稿