テレビを見る私たちの態度はたいへんに無礼かつ無責任である。芸能・娯楽を鑑賞する姿勢としては、あるいは最低かもしれない。そんな私たちの基本的な要求は「やれやれ!、もっとやれ!!」である。スキャンダルにしろただのゴシップにしろ、ときには犯罪でさえもそんな気分で眺めている。
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毎日8時間もテレビを見続けていたテレビジャンキーの私がいうのだから間違いないっ! のである。そういえば8年前、フィリピン淫行疑惑で消えた長井秀和はいまだ元気で英語講師をやっているのだろうか? タイタン所属の英語講師っていうのも笑える。ってくらいのものである。
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私たちのほかにこういう無責任さを発揮している連中は、といえばプロレスの観客くらいのものである。「あっ、あれは効くー」とか「おお、あれは痛いわ」とか喜んでいるが、やられているレスラーの身にもなってみろといいたくなるのである。
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こんなロクでもない観客に四方を囲まれたリングは、そのままテレビと同じである。四方の客をネットとそこにいる人々に置き換えると、よりいっそうイメージがはっきりしてくる。テレビは受け身一方なのである。冷やかされ放題、笑われ放題なのである。
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テレビの魅力は、これはいつも書いていることだが、タダでいつまでもダラダラと垂れ流してくれるところである。私たちは完全な受け身でいられてとってもラクなのである。
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受け身のテレビと受け身の私たちは、つまり護身術である合気道をやっている者同士に似て、なかなか争いにはならないのである。しかしごくたまにテレビ側から誰かがプランチャまたはトペ(ドラゴンロケットby藤波辰爾)で飛びだすか、場外乱闘になだれ込んだりするかで私たち観客を巻き込む場合があるのである。
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具体的にいえば名誉毀損だとか営業妨害だとか人権侵害だとか、とりあえずはBPO(放送倫理・番組向上機構)で審理されるようなことがらである。最近では「NHKスペシャル 調査報告 STAP細胞不正の深層」が小保方晴子氏の申し立てを受けて審理入りしている。弁護士は「人権侵害の限りをつくした」とまで糾弾しているから、穏やかではないのである。
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さて、プロレスの場外乱闘は試合がヒートアップしたそのあまり、というよりは、そもそも試合の一部として想定されている場合がほとんどである。会場を盛り上げるためにわざと客席になだれ込んだりするのである。
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いつも受け身で、たいへん無礼かつ無責任な観客の私たちは、今後こうした場外乱闘を意図的にけしかけられていないか、よく注意しなければならないのである。
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考えすぎ? いやいやヤラセはテレビの十八番である。それだけではなく、2003年には日本テレビが視聴率買収事件まで起こしているのである。窮鼠猫を噛む。これからのテレビはなにをしでかすかわからないのである。
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それにしてもプロデューサーが担当番組からパクった金でインフォーマントを買収したくらいで動く視聴率というのもいかがなものか。調べてみた。視聴率の調査会社は2000年以降ビデオリサーチ1社だが、たとえば関東、関西、名古屋の3地区を合わせても、調査対象世帯数はわずか600である。全国でも6600世帯に過ぎないのである。統計学的にはそれで十分とかいうのであろうが。
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日本テレビのプロデューサーは、その関東地区の調査対象世帯を探偵会社をつかって調べ上げ、直接1軒1軒訪問して買収していたわけである。この手をつかえば関東圏視聴率80%なんかも夢ではないかもしれない。不正防止のペナルティなど気安めみたいなものであるし。
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日本テレビのプロデューサーはとんでもないヤツである。とんでもないヤツではあるが、私なら1万円も貰えれば喜んで売ってしまうのである。もともと人の顔さえ映っていれば番組なんてなんでもいいのである。
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もし調査対象に選ばれたら、ただちに売りにいくつもりである。見たい番組などないのである。しかしそういって断るのも心苦しいのである。1番組1万、どや?
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話は突然変わるが、福山雅治(46)が10代ファン限定ライブなるものを開催したらしい。10代ファンからネットなどで「おじさん」といわれたことにショックを受け、「10代との距離を縮めたい」と思ったかららしい。
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なにをいっているのであろうか、この46歳は。「10代との距離を縮めたい」といって自分のファンを集めてコンサートを開いてなんの意味があるのか。ファンなのである。みんなすでにすっかり近いところにいるではないか。そしてさらにもっと近くにいきたいと願っている連中ばかりではないか。46歳にもなって福山雅治、まったく話にならんのである。
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でもってコンサートの最後には「これからもまたもっともっと新しいことに挑戦していきたいと思った1日でした。ありがとう、サンキュー!」なのである。どこに挑戦があったのか教えてもらいたいものである。
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いやいや福山雅治が憎くていっているわけではないのである。こういう、どうにもていたらくなカッコつけが最近の福山雅治は目に余るのである。しかしどう頑張っても、本質は唇で演技するしか能のない46歳なのである。石原さとみ(28)のジジイ版なのである。それらしく見せるのが精一杯なのである。
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福山雅治は男らしくありたいと願ってはいるが、自分ひとりではなかなかそれらしくも見せられない46歳のマシャなのである。つねに子分や腰巾着をゾロゾロ引きつれているのもそのためである。
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ラジオのディスクジョッキーでさえも子分みたいのがご機嫌伺いよろしくお相手をつとめているのである。吉高由里子(27)が雅治の印象を聞かれてひとこと「取り巻きが多い」と吐き捨てたくらいなのである。
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いやいや雅治が憎くていっているわけではないのである。このところのテレビ用腰巾着はリリーフランキー(51)であるらしい。このあいだも「ヨルタモリ」につれてきていた。おかげで番組は九州同郷の集いみたいになっていたのである。
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なんだか画ヅラがひどく貧弱で貧乏臭いのである。こんなときにかぎって宮沢りえ(42)はいないし。タモリ(70)とリリーフランキーだよ。目のやり場に困るのである。そこに肩幅とアゴのない46歳のマシャである。なんといって慰めたらいいのか。 (了)





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