権力と資本の野合の産物であるテレビ放送、……こう書くとなかなかセンセーショナルである。しかし正味そんなものなのである。詳しくは前回に書いてあるのでここでは割愛させてもらうが。
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しかし、いくら権力と資本が野合しているとはいっても、広告収入は今後もジリ貧となれば、なにか別の稼ぎ口を見つけなければならないのである。そこでネットやソーシャルメディアと組んでなにかうまいことできないか? というようなことになっているわけである。
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で、いつも思い出すのは経営の神さまと謳われた松下幸之助（享年94）が、蛇の目ミシン工業の社長あてに送りつけた「悪魔の手紙」事件である。「悪魔の手紙」とは私の勝手な命名である。
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ときは家庭電化製品の普及がめざましかった1950年代、松下幸之助が怖れたのは、積み立て会員を数多く抱えていたミシンメーカーだったのである。何を積み立てる会員かというとミシン購入費用である。
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毎月一定額を積み立てて満期になると何ヵ月分かがボーナスとして上積みされ、ミシン購入に充てられるのである。いまは具体的な数字は見つからないが、ほとんどあっちも会員こっちも会員というくらいの勢いだったらしい。
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積立金は徴収係兼セールスマンが一戸一戸まわって集めるのである。この販売網を経営の神さまは怖れたわけである。ミシンメーカーであるからそれなりの技術力もある。家電の製造販売に乗り出してくればたいへんな脅威になると見抜いたのである。
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そこで、なにごとも一所懸命、一心不乱がよい、ミシン一筋のあなたはほんとうに偉い!! みたいなことを、ときの蛇の目ミシン工業の社長に書き送ったのである。
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当時すでに経営の神さまとの誉れ高かった幸之助に褒められたと思った蛇の目ミシン工業の社長は感激し、以来ひたすらミシン一筋、ほかの家電製品、事務機器などを手がけるようになったのは、ずっと後、ミシンが売れなくなってさんざん辛酸をなめてからのことである。
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テレビはすでに各家庭に据え付けられている大きな端末である。これを販売チャネルと割り切って扱えば、さまざまな可能性がある。蛇の目ミシン工業の積み立てシステムみたいなものである。
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いまはまだこそこそと深夜帯に通販番組を流す程度なのは、おそらくメディアとしての自負があるからであろう。しかしそうこうしているうちに取り返しがつかなくなるかもしれないのである。
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番組製作もスポンサー獲得もキー局におんぶに抱っこの地方局なら、いますぐにでも自立をかけて、お客さま第一の激安スーパーみたいな放送局になってみたらどうだろうか?
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ところで、それとは話がずれるし、まったく当てずっぽうの連想だが、これからは情報の流通においても川上から川下へ、の景色がはっきりと見えてくるのではないかと思うのである。
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もともと「川上から川下へ」という言葉は価格決定の主導権がメーカーから流通に移り、それはひいては消費者の手もとに落ち着く、という流通革命、価格破壊の旗印である。んなことあり得ないのだが。
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その流れでいくと、最も川下にいる視聴者として私がとりあえずほしいのは、検索性、選択自由度の飛躍的な向上である。局を横断して巨大なアーカイブをつくり、番組単位はもちろん、人単位、ものごと単位で検索できるようにするのである。たぶん私は死ぬまでそこから抜け出せなくなると思う。
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話はまたまったく変わる。性別適合手術を希望しているKABA.ちゃん（かばしまえいじ、46）である。その希望の実現に向けて一歩前進したらしいのである。手術を受けるには２人の医師の診断が必要らしいのだが、このたび２人目の医師からのサインがもらえたらしいのである。朗報である。
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しかしこれから先は、まだまだ長いのである。まずはカウンセリングを受ける。それから申請を出し、承認が降りるまでに４ヵ月から６ヵ月くらいかかるのだそうである。逆戻りはできないので慎重には慎重を期すということである。
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さらに手術そのものも「１年８ヵ月待ち」といわれているらしい。全部あわせれば丸２年越しである。で、これ、成り行きをたぶんいちいち聞かされるのである。ご本人にとってはそれはもう人生最大の山場だとは思う。思うのではあるが、しかしKABA.ちゃんの性別適合手術に、私はそんなに深い関心はないのである。
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今回のこの話題は、映画「ピースオブケイク」女性限定記念トークショーにゲストとして呼ばれたKABA.ちゃん自身の口から出たものである。KABA.ちゃん頑張れ!! 大先輩、東尾理子は第２子妊娠だってよ。手強いよー。負けんじゃねーぞKABA.ちゃん!! 術後もなー。というくらいの興味しか私にはないのである。 （了）
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