自営業から自由業になってもう10年以上になる。やっていることは同じだけれども、スタッフを雇っていた時代は自営業、それも窮屈になって完全に単独で仕事をするようになって自由業、ということになるのであろう。
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おかげでもともと勤勉でもない上にすっかりマイペースが染み付いてしまった。振り返って一貫しているのは、たぶん傍から見ていればただの一度も真面目に仕事をしたことがない、ということくらいである。
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唯我独尊、そのうえまったく鼻持ちならない見下げ果てた男なのである。しかし結果についてはもちろん必ず自分で引き受ける。逃げも隠れもせんばい。じゃけ誰にもとやかくいわれる筋合いはなかと。
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と書いてきて、そうか私は職人気質なのだといまさら気がついた。そして職人がさらに頑固な職人になってしまうのはもともと怠け者だからなのだ、という重大な事実にも行き当たってしまったのである。私だけの場合かもしれないが。
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そーんな私がイラッとしたのがこの記事である。
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◆『アサ芸プラス』2017年10月29日配信
【「歩き出しがノロい」「お釣りをゆっくりしまう」…大迷惑な“初動の遅いヤツ”】
《 公衆の面前、怒鳴りつけるわけにもいかないが、腹が立つ。世の中、こうした「諦念」によって見過ごされている迷惑行為は多い。ならばせめて、ここで吐き出させてくれとばかりに、「街中で腹が立った瞬間」をアンケート調査してみると、「民衆の敵」に多くの怒声が集まった。
「横断歩道の赤信号で待っている時、最前列に躍り出る人ほど、青になった時にスタートが遅かったりする。あれはなんでだろう？」（36歳・会社員）
「電車は降りる人が先。それは守りたいけれど、たまに降りるのがやけに遅い人がいる。一度、乗りかけた人がまた戻ったりしてもたついている状況がイライラする」（41歳・会社員）
「エスカレーターでスマホを見始めた人が、登りきったときにスッと歩き始めないノロい人が腹立つ」（25歳・OL）
通勤時に出くわす「初動の遅いヤツ」は怒りの対象になって当然だろう。こんな声もある。
「昼メシの時にスマホを見ながら食べていて遅い人。店主じゃないのに『回転率下げやがって』って思ってしまう」（38歳・公務員）
「コンビニで買い物した時に、お釣りをしまうのにモタモタしている人が女性に多いけど、男でそういうのがいると本当に腹立つ」（35歳・会社員）
仕事において「初動の遅さ」は致命傷。「デキないヤツ」というレッテルを貼られても仕方ないギルティ行為なのだ。やや、せっかちな怒りの声ではあったが、チンタラ行動することのメリットなど、ほとんどない。公共の場では、「せめて周囲と歩調を合わせよ」という願いを込めて、声を上げさせていただいた次第である。》
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るっせーよ、バカ。である。「民衆の敵」、Public Enemy 上等じゃあないのお。「ギルティ行為」、なにいってんのかわっかんねーし。「せめて周囲と歩調を合わせよ」? こちら家畜じゃねーんだ。「多くの怒声が集まった」? 文句があるなら直接いってこい。
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人にはそれぞれのテンポがあり、ペースがある。たぶんこの記事を書いた人間はそのことすらわかっていないのであろう。坊主と乞食と自由業を３日やったらわかる。でもって自分のテンポ、ペースで生きられない苦痛もわかる。
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しかしその苦痛をさらに他人にも押し付けないでいただきたい。「チンタラ行動することのメリット」は山ほどある。瞬間の生産性を上げるよりもチンタラ生産のほうが遥かに効率的な場合があるし、なにより行動しながら考えることで工夫・反省をしっかりできる。
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大袈裟になるかもしれないけれども、きっとこんなふうに、「せめて周囲と歩調を合わせよ」というふうにして“一面の正義”、“わかりやすい大義”が跋扈していくのだ。そしてこのタイミングでこれをいう鈍感さが大局を見失わせる。
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マイペースな私だって人さまの迷惑にならないように気をつけて生きている。余計なお節介は願い下げ。（了）
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