2018年10月23日火曜日

妙に恵まれた感じの「沢田研二ファン」をうらやむ



プロ・アマ問わずテレビに出てくる顔を見てはあれこれ詮索する癖がついている。それを妄想と笑ば笑え。しかしこれほどマジマジと大勢の顔を見た人間は人類史を振り返ってもワタクシしかいない。のではないか。人相学めいたことを口走っても許される。のではないか。



というわけで、ワタクシは人のすべては顔面に現れるというテーゼのもと「全顔主義」を創唱した。つーか、これを書くにあたって“そういや前に「全顔主義」なんつって遊んだことがあったな”と思い出した。ま、その程度のヨタ話ってことである。



沢田研二(70)のファン。「沢田研二さんの今回のドタキャンどう思われますか?」などという取材を会場前で受けていた方々である。「ああジュリーらしいなあ、と思いました」。鷹揚というか悠揚迫らざるお答えが暮らしの余裕を物語っておられる。入場料8000円だもんなあ、貧乏人はこない。パートさんもユニクロさんもいない。テレビで拝見したところみなさんそんな感じ。



年齢層は50代〜60代が圧倒的で、リベラルでものわかりがよく、しかし選挙では必ず自民党候補に投票するというようなタイプである。そしてそんなオババたちがこんなに大量に存在していたということに驚かされたのである。「70歳のジジイの歌に7000人も集まって」(by中尾ミエ)くれちゃっている。



これまで気付かなかった時代の撚り糸、深層に静かに脈々と流れていた大河を発見した気分だ。日本の戦後史を語るときになぜか忘れ去られていた沢田研二ファンオババ。略してS.F.O.の群。



沢田研二がなにかをやらかしても「仕方のないコねえ」と笑って許しそうなその気配はいかにして育まれたのか? そしてまたグループサウンズのスターはいかにしてそういうオババの愛玩物に成り果てたのか? 「コイチさんというかフルイチさんというか知りませんけど」(by夫人)、古市憲寿(33)にでもぜひ研究していただきたい。



ワタクシなりに思うに、ひとつには沢田研二がテレビなどマスコミへの露出を極端に控えていることが挙げられる。その限られた閉鎖的なコミュニケーション空間のなかで沢田研二とS.F.O.だけに通用する話題、言葉、イメージがつくられているのだろう。激しく大袈裟にいえば民族、ゲスにいえばカルトみたいなもの。



もうひとつ、沢田研二のノンセクシュアルなイメージもポイントだ。いまでこそカーネル・サンダースだけれども、タイガース時代からソロ転向しばらくまでのあいだは“ユニセックス”とか“モノセックス”の象徴みたいないわれ方をしていた。



S.F.O.にとって沢田研二は“男”ではない。沢田研二に男らしいセクシーさを求めてはいない。S.F.O.が沢田研二に見るものは、やはりたとえば宝塚歌劇団にも近似したファンタジーであり、いまとなっては可愛がってきた老猫との親密さと自らの母性だろう。



うむ。沢田研二にスキャンダルとくに異性スキャンダルがなかったのもS.F.O.群の形成に奏功しているのはいうまでもない。「あ、そうだったのよね、ジュリーもふつうの人間だったのよね」がない。あとプライベートを公開しないことも。最初の妻(伊藤エミ)とのあいだにできた息子がまったくオモテに出てこないのももちろんプラスだ。



沢田研二としては最初からそれを狙ってやってきたことではないであろう。思うに沢田研二はただただ2枚目の線を守ろうとしてやってきただけなのだ。



詳しく見ると沢田研二にもテレビで頑張ろうとした時代はあった。ソロ転向後にもMCを担当した番組が2本あった。音楽バラエティ番組『沢田研二ショー』(1983年4月〜9月・TBS )、『新常識クイズ!目からウロコ』(2001年4月〜9月・フジテレビ)である。



ともに1クルーで終了してしまっているのは、たぶんジタバタあくせくしたくないという“二の線”志向のせいもあるのだ。結果としてこれが沢田研二のペット化の一助を担い芸能人としての寿命を延ばしている。



では、その沢田研二をペット化してしまうS.F.O.群はどこからどのように湧いて出てきた方々なのであろう? これも勝手に想像すると、高度経済成長時代に乙女期を過ごし、バブルが崩壊したあたりで家庭に入り、というのはあまりに安直なプロファイリングであろうか? つまり高度経済成長時代の明るさ伸びやかさをどこかでそのまま保っている方々。日本最後の幸せ世代。



空白の十年もニ十年も、所得格差も、労働環境の悪化も、そこには夫あるいは家族というワンクッションがあって、少なくともまともな直撃は食らってこなかった方々である。年金もなんとか貰えそう。沢田研二はそういう方々に支えられている。



そして考えてみれば彼女たちの乙女期をいまもそれなり大きなキズもなく照射し続けているのは沢田研二くらいのものではないか? 萩原健一(68)は男っぽいしホントに悪そうだし。そもそも十代中頃までの乙女が熱狂しそうなスターはそんなに大勢はいなかった。消えていくのも早かった。



女はいつまでも何歳でも乙女なのである。そしてその気分を思い出させ満足させてくれるのが沢田研二なのである。



すでに子育てを終えたS.F.O.群のこれからはまだ長い。100歳までいっちゃうかもしれない。沢田研二は騒動のあとのコンサートで「あと10年はやる」と語ったそうだけれども、健康でさえいられればやれるだろう。ついでに羽賀研二(57)みたいに宝石のセールスもやれば売れそうである。オババはキミに任せたぞ!!(了)




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