藤原紀香(44)および「紀香側」の結婚準備は着々と、しかし一方的に進んでいるようだ。たとえば紀香は、10月27日、芦田淳の「SPRING SUMMER COLLECTION 2016」会場に現れ、「右手薬指のダイヤが並んだ指輪」をさんざんひけらかして帰ったのだそうだ。(『アサ芸プラス』10月29日)
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さらに『アサ芸プラス』によると「わざわざ映像に撮らせているあたり、“芦田氏にウエディングドレスの発注をするのでは?”という話題をマスコミに向けて発しているのでしょう」なのである。そう思惑通りにはならなかったのであるが。
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これでは紀香、「私ん家はお金持ち」をアピールしている小学生みたいなものである。やることが幼稚きわまりないのである。で、残念ながら、この記事からは逆に紀香および紀香側の手詰感が漂ってくるのである。「左手薬指のダイヤが並んだ指輪」はいったいどこから? なのである。
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たいへん申し訳ないが、何度も書いているように紀香は片岡愛之助(43)とは結婚できないのである。紀香の所属プロダクションはサムデイであり、サムデイは紀香の担当スタッフがバーニングプロダクションから暖簾分けしてもらうかたちで立ち上げた事務所なのである。バリバリのバーニング系である。
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で、紀香の結婚を、そのバーニングが強力に後押ししているわけである。バーニングとしては、紀香の梨園入りをきっかけにして、歌舞伎の運営会社、松竹との縁を深めたいという野望があるのである。それは関西での営業基盤の確立につながるのである。
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であるから、紀香と愛之助の結婚は、最近急速に求心力を失いつつあるバーニングの、いってみればグループを挙げてのプロジェクトなのである。テレビに出ている芸能人、タレントの7割を傘下に収めているといわれるバーニングだが、細かく分社していることもあって、たがが緩むと一気に結束がバラけていく可能性が高いのである。御大74歳。さらにいまは猛烈な逆風である。
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したがって芸能メディアも、いまのところはこぞって、今日明日にでも結婚、といった煽りを繰り返しているわけである。であるから、今回の記事を書いた『アサ芸プラス』は、その点エラいのである。
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しかしバーニング側の、紀香の梨園入りをきっかけに松竹さんと仲よく、という思惑は、松竹にとってはありがた迷惑なのである。いってみれば、せっかく松竹が独占している歌舞伎に、なんとなく胡散臭い感じがしないでもないくさびが打ち込まれる、という話なのである。であるから、松竹が紀香と愛之助の結婚を了承するはずがないのである。
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では、もう1人の当事者、片岡愛之助の気持ちはどうなのか、である。というより、まずは贔屓筋である。愛之助には数百万円単位でご祝儀をくれるタニマチの女性が何人もいるらしいのである。もし紀香と結婚ということになれば、そうしたせっかくのスポンサーは離れていくだろうと思われるのである。そしてそれが、愛之助が消極的になっているといわれる理由でもある。
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いやいや、愛之助自身の紀香に対する気持ちは? ということであれば、人外魔境のエロボトケである。やることをやれればそれでいいのである。いざとなれば「私はいままで結婚なんてひとこともいっていませんよ」とシラを切ればいいのである。であるから、愛之助としては結婚はしないでダラダラと関係が続くのがいちばんなのである。熊切あさ美(35)とも執拗に結婚を迫られたので別れたかったわけである。
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もともと紀香と愛之助は飲み友だちで、愛之助が「熊切あさ美と別れたい」みたいな話をしていたのだそうである。強く結婚を迫られる→しかし結婚などしたらタニマチが逃げる、からである。そこで、紀香が自分との熱愛を装ってあさ美を遠ざけるという計画を提案したのが2人の交際のきっかけ、という説があるのである。
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そしてこの計画(熱愛でっちあげ)は、ちょうど2人が共演しているNHK BSプレミアムのドラマ『ある日、アヒルバス』(今年7月放映)のプロモーションとしても好都合だったのである。とはいえ、あるいは愛之助のほうから悩んでいるふりをして紀香にすり寄っていったのかもしれず、真相は藪の中である。
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藪の中ではあるが、今度は紀香がかつてのあさ美の役回りに回っているわけである。結婚、結婚とうるさいのである。であるから、愛之助がいつこの大柄な年増女と縁を切ろうと考えるか、知れたものではないのである。
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ついでに無責任な予想を立てておくと、紀香および「紀香側」の結婚プロジェクトの失敗が確定されるのは2016年6月28日である。この日で紀香はめでたく45歳になるのである。四捨五入して50歳になる前に式を挙げさせるのが結婚プロジェクトの絶対目標だろうと思うのである。したがって結納、準備期間などを含めれば、実質的なデッドラインは、来年の年明け早々のはずである。
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で、今回ほんとうに書きたかったのはそういうことではなくて、10月29日に、東京、TOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われた「第28回東京国際映画祭」パノラマ部門作品『イザベラ・ロッセリーニのグリーン・ポルノ』の舞台挨拶後の囲み取材の話なのである。
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『イザベラ・ロッセリーニのグリーン・ポルノ』というのは、イザベラ・ロッセリーニがさまざまな動物を演じて生殖行為を説明する短編映画シリーズであり、舞台化もされている『グリーン・ポルノ』の制作過程などを捉えたドキュメントである。そのアフレコを藤原紀香が担当したのである。
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しかしながらイザベラ・ロッセリーニ(63)である。あのデビッド・リンチの名作『ブルー・ベルベット』(1986)の“ブルー・レディ”なのである。父さんは『無防備都市』(1945)を撮ったロベルト・ロッセリーニ(享年71)、母さんは『カサブランカ』(1942)のイングリッド・バーグマン(享年67)なのである。
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私としては、そんなところにあの少女漫画の塗り絵みたいなデカいツラを出してほしくないわけである。案の定、紀香のコメントは「たとえば蜂は、雄が死んでしまう。クモは命がけで雌に近寄って隙を見て生殖行為を行ってすぐ逃げるとか、本当におもしろい。はじめて知ることばっかりで勉強になった」なのである。まるで中学生みたいな素直すぎる感想である。
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さらに発言は続き「人間は男性と女性って別れていますが、動物や昆虫たちには、どっちともわからないものがたくさん存在する。そういった意味でもいまの時代に合っている」と、わけがわからないのである。いまの時代に合っているわけではなくて、性のあり方は人間も含めて本来そのように多様なものだ、ということである。情報を咀嚼する力が弱いのである。
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で、これに対して囲み取材をしているほうはといえば「体で表現するって、歌舞伎に似ていません?」とか「ノリノリノリカですか?」とかなのである。11月7日にこのプログラムの放映を予定しているWOWOW側からは、愛之助の話題が出たらそこで囲み取材は打ち切り、と通告があったそうなのである。で、こういういつもの奥歯にものが挟まったようないいかたになる、と。
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WOWOWもWOWOWでなにをもっともらしく、囲み取材は打ち切り、であろうか。『イザベラ・ロッセリーニのグリーン・ポルノ』は、WOWOWとサンダンスプロダクションとの共同制作作品である。アフレコに紀香を起用したのは、まさにその愛之助との話題性にのっかってではないか。
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そして囲み取材を契約条件に入れておけば、紀香めあてのレポーターもたくさんくる、と踏んでのことではないか。で、ついでになんだかエロい紀香だし生殖の話でちょうどいい、とかも思ったはずなのである。どうだ、魂胆は丸見えなのである。
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それにしてもレポーターの「体で表現するって、歌舞伎に似ていません?」とか「ノリノリノリカですか?」とはどういうバカさ加減なのか。ついに紀香にさえ最後に「番組のことをお願いします」と釘を刺される始末だったのである。
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出るほうもつくらせるほうも、それを伝えるほうも、あまりにも意識が低すぎやしませんか、なのである。いまにはじまったことではないが、日本の芸能はこれでいいのか? なのである。
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原因はとうにわかっているのである。金が幅を利かせすぎているのである。金が幅を利かせすぎて、みんなパーになってしまっているのである。AKB48を見ればよくわかる。
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もちろん、金が回り、適正な利潤を上げられなければ、どんな取り組みも長続きはしないのである。しかし、その投資から回収までのスパンがあまりにも短いのである。来週、来月の決済しか目に入っていない感じなのである。あまりにも近視眼である。
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株取引でいえば、いまの状態はデイトレードなのである。1日に何度も売買を繰り返し、利益を重ねていく方法である。薄皮を剥ぐ=peelingとも呼ばれるものである。株取引といえば、もともは成長する見込みのある企業を見つけたり、支援したい事業を応援したりで投資するものだったのである。日本企業の株をもつということは、すなわち日本に投資することだったのである。
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しかしデイトレードはそんなこととは一切関係がないのである。トレンド分析だのテクニカル分析だの、直近の株価データから今日1日の株価の上り下がりを予想するだけなのである。経済の知識や企業情報すら必須ではないのである。しかし儲かればいいのである。
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いまの日本はおしなべてみなデイトレード状態である。将来の繁栄よりも今日の小銭、なのである。そのなかでも藤原紀香はひときわ目立つデイトレード物件なわけである。愛之助との「熱愛」は、デイトレードにのっかるためにもなかなか止められないのである。(了)

