爆笑問題の田中裕二（50）と山口もえ（38）が今月４日に入籍するというニュースを聞いたときから、なにかモヤモヤするものはあったのである。モヤモヤはするけれども、人のしあわせなどいまいましいだけなので放っておいたのである。しかも唇で演技する46歳男のおかげで、結婚の話題など、もううんざりだったのである。
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そしてその段階で私は、今度結婚する２人がともにバツイチであり、山口もえには前夫とのあいだに２人の子どもがあり、田中裕二にはキンタマがひとつしかない、ということを知っていたのである。あ、それから山口もえが元浅草の大手仏壇店の娘だということも。
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それだけで私には、なにかこう、どこか古くさいような懐かしいような、なんとも掴みどころのない印象があったのである。どういうことかと思いめぐらしてみても、和風っぽくて怪談話のような……、といったような断片的な連想みたいなものしか浮かばなかったのである。
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もちろん、その連想みたいなものは仏壇店と玉イチからきているのである。バカである。これ以上、自分のバカを突きつけられるのが嫌なので、この話題はスルーにしようと決めていたのである。
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ところが入籍翌日の10月5日、思いがけないニュースを発見したのである。４日にTBS局内で行われた裕二ともえの結婚報告会見で、取材に来た報道陣全員に横浜元町の『Kitamura』の小銭入れが配られた、というのである。
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たとえ数千円の品物でも報道陣全員となればかなりの数である。豪勢な話である。内祝いの大盤振る舞いである。しかしそのニュースには、会見に出席した記者の「これまで交際を否定せざるを得なかったことについての、太田社長からのお詫びでしょう」という、少し意外な談話が掲載されていたのである。
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光代が裕二ともえの交際を否定し続けたのは、もえの8歳と4歳の子どもたちの気持ちを尊重したからなのだそうである。確かに、母親の男関係がマスコミを通して面白おかしく伝えられてしまうことは、この年齢の、幼いけれども多感な子どもたちにとってよくないのである。母と子、あるいはこれから父になるかもしれない男と子どもとの関係に、大きなくさびを打ち込むようなものである。
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さらに光代は、裕二ともえはバツイチであるから、その経験で負った精神的な傷にも気配りをしたのだ、という話もあったのである。つまり一度、はからずも痛い目にあっている２人がそのために臆病になり、周囲の声や視線を気にしてせっかくの縁に一歩踏み出せず、結局うやむやになってしまう、ということを心配したのである。
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ここまできて、ようやく私にもわかってきたのである。これは江戸っ子の人情話なのである。そしてそれは最前から話に出ているモチモチ、もとい、モヤモヤしていた気分が晴れて、ひとつのイメージとして描けたということなのである。自画自賛である。腑に落ちたのである。
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念のために調べてみると、裕二は東京都中野区、もえは台東区、光代は府中市の出身である。ちなみに光代の夫であり裕二の相方の太田光（50）は、埼玉県上福岡市出身である。うむ。今回のこの話題には関係がなさそうでまったくないともいい切れない、そんな立ち位置を見事に映したロケーションなのである。
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さらにいろいろなニュースを読んでみたのである。それによると、裕二が2009年に離婚した際にも光代があいだに入り、穏便に処理をしたというのである。であるから、離婚理由についてもいまだに公になってはいないのである。光代は双方の傷を最小限に抑えたのである。
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そして、こうした光代のこれまでの行動を知っているので、４日の結婚報告会見で配られた『Kitamura』の小銭入れに対しても、記者の「これまで交際を否定せざるを得なかったことについての、太田社長からのお詫びでしょう」という解釈が生まれるのである。
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光代、なかなかやるのである。面倒見がよく、しかし善意はわざわざ人に見せるものではないという、江戸っ子の心意気のようなものを感じてしまうのである。なんだか目頭が熱くなってしまうのである。偶然ビデオに映り込んでしまった宇宙人みたいだ、などと小バカにしてばかりではいけないのである。
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さて、そんな情に篤く義理を重んじる親方をもった裕二は、単独でインタビューに答えていたのである。結婚報告会見から明けて５日に放送されたフジテレビ『ノンストップ!』である。
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そのインタビューのなかで、会見を遠くから見ていた光代について聞かれると、裕二は「いるのは分かってたんで、見ないようにしていました」と答えたのである。その理由を重ねて問われると「怖いから固まっちゃうことあるんでね。見ると」だったのである。裕二も、やはり照れが先に立つ江戸っ子なのである。ご多幸を祈る。（了）
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