くりぃむしちゅー有田哲平(44)のカツラがたいへん立派である。おそらく『しゃべくり007』(日本テレビ)なんかですでにイジられているのであろうが、一気にあそこまで盛るとはたいした度胸である。
*
ふつう、ハゲ、薄毛隠しのカツラといえば、その存在を悟られないところに存在価値があるわけである。しかし哲平の場合はあまりにも一気なので、その常識とはまったく逆に、これ見よがしなのである。横分けにしてふっくらさせたセンターあたりは真夏のかき氷のように盛り上がっているのである。
*
実際その、カツラを乗せた最近の哲平の写真を見ると、たいへんに晴れ晴れとした表情なのである。まるで新しい靴を買ってもらった子どもである。うれしくて、つい見せびらかしている感じなのである。
*
*
哲平の頭の形は、もともと雪男のように頭頂部が尖っているのである。しかも顔本体の長い哲平である。写真を眺めていると、下から上へ順に、アゴ部、目鼻口の造作部、デコ部、ヅラ部、ときれいに4層、4等分されていることがわかるのである。
*
そんな哲平の姿に、なぜか羊羹または餡をカステラにはさみこんだ「シベリア」という懐かしいお菓子を思い出してしまうのである。そんなようなわけで、いまの哲平の顔は、アゴの先からアタマの髪の毛の先まで、全長ゆうに80cmはあろうかと思われるのである。巨大戦艦大和のプラモデル並みである。
*
ではなぜこんな一気盛りになったのか? である。まず考えられるのは、これまでなんらかの事情でカツラの使用を禁じられていて、それを解かれたとたんに我慢の反動が出た、といういきさつである。育毛剤、増毛剤のコマーシャルを狙っていた、とか相方の上田晋也(45)に止められていた、とかである。「はあーっ? オレたちくりぃむしちゅーだぜぇ。えーっ」とか、晋也いいそうなのである。
*
*
で、すったもんだのあげく、ついに「お前がそんなにいうならしたかねーなー」くらいのことになって、うれしさのあまり、つい最大本数、最高密度のカツラを選んでしまったのである。哲平、王冠を戴くよりうれしかったのである。
*
次に考えられるのは、急いでいた、という理由である。舞台袖での早や着替えのごとく素早く変身したかったのである。では哲平、なにに対して急いでいたのか? 勝手に憶測するに、恋い焦がれるローラ(25)の帰国である。
*
ローラはハリウッド映画『バイオハザードVI:ザ・ファイナル・チャプター(仮)』の撮影で南アフリカに滞在していたのである。で、10月初旬には帰国しているのである。
*
*
きっとミラ・ジョヴォヴィッチ(39)とか、アリ・ラーター(39)とか、ウィリアム・レビー(30)とか、キラ星のごときハリウッドスターたちとの交流があったはずなのである。哲平、身の程も知らずライバル意識をむきだした、というわけなのである。
*
考えてみよう。ローラがハリウッドに行く前、哲平は逆にわざと髪の毛が薄いことを強調するヘアスタイルだったのである。お笑い芸人としてはそれが正解なのである。なのにいきなりこのタイミングで身を翻したのには、つまり二のセンに傾いたのは、ローラへの想いがあるからではないかと思うのである。
*
ローラと有田? たしかにローラと有田の関係は「有田に春はやってくるのか?」とからかい半分、たびたび冷やかされる程度のものではある。しかし哲平に春は来ないのである。春が来たのは頭の上だけなのである。頭の上にカツラが咲いただけなのである。これも勝手な憶測だが。
*
*
もうひとつ考えられることは、哲平、もっと単純に、装着に当たって長いあいだ準備をしすぎたのではないか、ということである。取扱いに馴れるためにレッスンをしすぎたのではないか、そしてそうこうするうち、カツラに情が移ってしまったのではないか、と思うのである。
*
情をもって接すると、カツラも情で応えるのである。なんというか、カツラにはそんな生命のようなものが宿っている気がするのである。すると哲平としても、少しずつボリュームアップして段階的に、などと冷めた扱いはできないわけである。すでに一心同体なのである。一蓮托生、一気にいこうぜ、えいやっ!! となるわけである。
*
そんなこんなの妄想のあと、哲平とこのカツラ、似合っているかどうか、と写真を見ながら考えはじめたのである。しかしすぐやめたのである。カツラは似合う似合わないとはまた少し違った次元のもののような気がするし、なにしろベースが哲平である。お似合いかどうかを気にするのは、テリー伊藤(65)のコメントを論評するようなものである。そんなものあってもなくても、どうだって誰もかまいやしないのである。(了)





0 件のコメント:
コメントを投稿