女優の高部あい(27)が10月15日朝、東京都渋谷区の自宅で麻薬取締法違反(所持)の疑いで逮捕されていたのである。これがマスコミ報道で明らかになったのは、12日後の27日である。尿鑑定の結果はまだ報道されていないらしい。
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自宅で押収されたブツはコカインである。コカインは単価が高いのと効き目が短いのとで、けっこうな贅沢品らしい。庶民派の覚せい剤とは違って、不良セレブ御用達といったイメージなのである。そのせいか日本ではあまり摘発のニュースを聞かないのである。
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警視庁によると、高部あいは「友だちからもらった」と容疑を認めているのだそうである。とすると、問題はその友だちが誰か、である。というのも逮捕されたのは15日朝だが、前日の14日夜、あいは大勢のタレントたちとハロウィーンパーティに参加していたのである。毎年恒例、グラビアアイドル、森下悠里(30)が主催する自宅マンションでのパーティである。
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森下悠里のブログによると、今年の参加者は「50名以上のお友達」らしいのである。このなかに、あいにコカインを渡した人物、あるいは逆にあいから譲り受けた人物がいる可能性が高いと考えるのは自然である。15日朝の逮捕から27日まで、警察はこの「50名以上のお友達」の洗い出し作業をしていたのだろうと思うのである。
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参加者メンバーの具体的な名前は、これも悠里のブログにアップされていた当夜のスナップ写真、さらにそこから手繰った参加者のブログなどから、マスコミにもある程度特定されているのである。
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misono(30)、原幹恵(28)、岸明日香(24)、副島美咲(22)、ダコタ・ローズ(不詳)、多田あさみ(27)、プロフィギュアスケーターでタレントの澤山璃奈(26)である。
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いちおう、みなさん美形である。ブログの写真を見ると、セーラームーンなどのコスプレをしているのである。やっぱりプロは違う、という感じである。スタイルが違うのである。素人写真だけに、かえってそれがリアルなのである。平成だなあ、とつくづく思うのである。
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それだけでハロウィーンっていい習慣だなあ、と思うのである。こういう機会はじゃんじゃん増やさなければならないのである。世界各国から持ち寄ればいいのである。盆と正月は? 盆と正月は? とオロオロ唱えているだけではダメなのである。盆と正月がなくなりそうだ、というところまで追いつめなければ再興は望めないのである。
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しかしながら、そういういまどきの若い娘たちの写真に「料理も超豪華」「大量の松茸、寿司、カボチャの……」という『デイリースポーツ』(10月27日(火)19時23分配信)の記述は、べらぼうに滑稽なのである。盆と正月はなかなかしぶとそうなのである。
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で、あいの逮捕が公表されたということは、それらパーティ参加者の洗い出し捜査が終わったということであろう。担当しているのは、警視庁本庁で銃器や薬物の捜査を取り仕切る組織犯罪対策第5課である。いわゆる「関係者」の話として、高部あいは今年の春ごろから内偵されていたらしい、という報道もある(『東京スポーツ』10月28日)。事件が大きく広がる可能性は高い。
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所属事務所のオスカープロモーションは、逮捕の第一報が入った15日付けで即刻あいとの契約を解除している。2004年に「第10回全日本国民的美少女コンテスト」でグラビア賞を受賞してから頑張ってきた約10年のキャリアは、これですっかりパーになったわけである。
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ところで、最近、薬物事件がらみの報道が多いような気がする、と思っていたら『女性自身』(光文社)のしわざだったのである。10月25日の配信では、2009年6月に覚せい剤取締法違反で逮捕された元ドリーム・カム・トゥルーの西川隆宏(51)の現在のようすが報道されていたのである。
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さらに翌日には、2008年に覚せい剤取締法違反で逮捕された加勢大周(45)の現在である。隆宏は札幌でバーを経営、大周も都内でバーテンダーをやっているとのことである。
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加えて、酒井法子(43)がパチンコ営業で荒稼ぎ、という報道も『女性自身』は何度か取り上げている。ちなみに法子のパチンコ営業のギャラは20分間で100万円だそうである。1日に同じ系列の店を3店舗回っても、値引きなしの300万円だそうである。法子、金貨である。なんのことかわからんが。
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とくにニュースでもないのに、薬物で前科をもつ方々をこんなに頻繁に取り上げるというのは、おそらく編集部の方針であろう。あい報道解禁の前振りか? 薬物犯罪の撲滅、更生の後押し、たいへんけっこうなことである。隆宏、大周、法子とも覚せい剤とは縁が切れているのだろうから、たいしたものである。立派である。
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決して嫌味ではないのである。覚せい剤依存者の再犯率はざっくり50%なのである(厚生労働省、2012年)。一度捕まって法律に罰せられ、周囲からも厳しく叱責され、反省し、足を洗うと決意したにもかかわらず、その約半数がまた手を出し、逮捕されているのである。覚せい剤は止めにくいものなのである。であるから、ここに名前が出た3人は、止められたことに関しては偉いのである。
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が、しかし、覚せい剤やその他の薬物に手を出さないようにしよう、というキャンペーンのためには、そこから立ち直った人たちよりも、むしろ立ち直れずにもがき苦しんでいる人のようすを伝えたほうが効果的だろうと思うのである。人権には配慮しなければいけないが、もし捕まっても水商売でもやればいいさ、などと安直に考えられては困るのである。
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たとえば田代まさし(59)である。2000年の盗撮からはじまって2010年まで、覗き、交通違反、覚せい剤、コカインなどで、たぶん合計7回の逮捕歴である。そのうち薬物がらみは覚せい剤3回、大麻1回、コカイン1回である。しかしその他の覗きだって交通違反だって、薬物の影響あってのことに違いないのである。
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そして刑務所から出て、大勢の人に頭を下げ詫びを入れ、再起を誓っても、また繰り返すのである。いまや「まさし」といえば懲りないヤツの代名詞なのである。財産はもちろん、友人や家族を失ってさえもなお、止められないのである。
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まさしは現在、薬物依存症リハビリ施設「ダルク」のスタッフとして働いているらしい。「自分はまだ立ち直っていない」という彼の言葉は悲痛である。もし、なにかの弾みで薬物の誘惑にさらされたら、まさしのことを思い出せばいいのである。
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まさしみたいにはならないようにしよう。そう誓うことは、まさしにとっても、逆説ではあるが、ひとつの救いになると思うのである。(了)


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