ピーターフランプトンは坊主頭のオヤジさんだし、フリートウッドマックのスティーヴィーニックスは昼カラにいそうなオバサン、フォリナーのルーグラムに到っては、カバみたいに太っていて、とても歌うどころの騒ぎではないのである。むかしのスターたちをYouTubeで検索してみると、出てくる出てくる、衝撃的なお姿がゾロゾロなのである。まるでパンドラの匣である。
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国内に目を転じれば、ホントにいつもいつものことで申しわけないが、まずは紅白出場を決めた和田アキ子(65)が思い浮かぶのである。このところ一気に老け込んでいるのである。
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例の『アッコにおまかせ!』(TBS)のパネル説明のコーナーで、アキ子は向かって左側、よいしょ担当の若手レギュラー陣は右側に立つのである。で、右側の時間の速さを1とすると、それが左に移ると0.6くらいまで遅くなるのである。アキ子、魯鈍といわれてもしかたのないところまできているのである。
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紅白出場の件にしても、まったく実績もないのに選ばれた、と猛批判を受けている近藤真彦(51)の陰に隠れて矛先をかわしてはいるが、アキ子も実態はほとんど変わらないのである。ヘアースタイルは橋田壽賀子(90)と同じである。
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しかも嫌われ度からいえば、アキ子のほうが真彦より数十倍上である。そんな足手まといのアキ子を外し、かわりに橋本マナミ(31)でも連れてきてカクテルドレスを着せ、むりやり「伊勢佐木町ブルース」でも歌わせたほうが、よほど視聴意欲が湧くのである。日本全国アン、アンである。
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で、加齢ということで次に浮かぶのが松任谷由実(61)である。去年は酷評されたディナーショーを今年もやるのか、と案じていたのである。なにしろ「聞き苦しい歌と一緒ではお料理も十分に楽しめない」(日刊ゲンダイ)だったのである。
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ディナーショーの会場は「ホテルオークラ東京」である。12月22~24日の3日間で、料金は五木ひろし(67)よりも高いお1人さま6万円である。“五木ひろしよりも高い”、とわざわざ書いたのにはワケがあって、日本ではじめてディナーショーなるものを開催したのが五木ひろしなのだそうである。それでオリジネイターに敬意を表して、五木ひろしの料金5万1500円は超えないようにしよう、というのが、業界の暗黙の了解だったのである。
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由美はそんなひろしのことなどおかまいなしである。6万円である。強気である。強気に応えて各日420枚のチケットは即日完売だったそうである。しかしながら惨劇は起こってしまったのである。
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ずいぶん前にも書いたが、ここ数年の由美の劣化の激しさは、思わず目を閉じ耳を塞ぎたくなるほど酷いものである。へらず口は盛大に開くのであるが。もう2年ほど前になるのか『シオノギ・ミュージックフェア』(フジテレビ)で久しぶりに見たときには本当に驚愕したのである。
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まず、声が遅れて出てくる。いっこく堂の腹話術みたいである。しかし高音はいつまで待っても出てこない。歌いながら中腰になって両手を前に突き出し、なにかモゾモゾやっていると思ったら、これが自転車に乗っているふうの振り付けだったのである。
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しかも、それさえもバックダンサーの動きを見てようやく呑み込めたのである。申しわけないが、最初はババアが老人用手押し車を押してこちらに向かってくる場面のようにしか見えなかったのである。
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そんなようなわけで、最近の由美は同年代の竹内まりや(60)にも、さらにジリジリと差を広げられているのである。まりや、去年は全国6都市でのコンサートツアーも成功させているのである。
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たぶん、これにはプロデュースを担当している2人の夫の力量差が際立ってきたということもあるのである。まりあの夫はいわずと知れた山下達郎(62)、現役バリバリである。由美の夫は松任谷正隆(64)である。この正隆のセンスが、もう完璧に古いのである。というわけで結局、今年の年末ディナーショーはなしに落ち着いたらしいのである。他人事ながらホッとしたのである。
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しかしながら由美、死ぬまで現役で歌い続けると宣言しているのである。またまた強気である。それでもさすがに、今冬のライヴは、12月5日の、映画「リトルプリンス 星の王子さまと私」とのタイアップ企画「プラネタリウムプレミアムライブ」と、来年2月の高齢、あ間違いた(by荒木経惟)、恒例「SURF&SNOW in Naeba」だけのようである。
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新曲は「いしかわ百万石物語〜ひゃくまんさん小唄」が完成したのである。「リトルプリンス 星の王子さまと私」の日本語吹替版主題歌「気づかず過ぎた初恋」よりは、こちらのほうを応援したいと思うのである。
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まあ、ご本人が歌いたいといい、需要があるのであれば別に文句をつける筋合いではないのである。しかしながらいわせていただきたいのは、死ぬまで歌い続けるといった以上は、客がゼロになっても歌い続けていただきたいのである。それが宣言をした者の責任である。
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川島なお美が倒れる直前、フランス産シャンパンの国内発売会見にひどく痩せて出てきたとき「死に行く者のエゴイズム」という文章を書いた。死ぬまで人前に立ち続けるという覚悟はそれはそれで凄いものだし尊重もするが、客はどうなるのか? 客が視野に入っていないのではないか? という内容である。残酷なようだが、批評として誰かがいわなければならないと思ったのである。そんなにたくさんの人に読まれているわけでもないが。
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由美にもこれと同じことがいえるのである。たぶん客のことは、あまりまともには考えていないのである。やりたいからやる、と、ただそれだけのような気がするのである。
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はっきりいわせていただれけば、少なくともいつかの『シオノギ・ミュージックフェア』や昨年のディナーショーでの歌は、客に聞かせられる代物ではなかったのである。これで死ぬまで歌うという宣言をし、さらにそれを反古にされてしまえば、バカにされているとしか思えないのである。
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超高齢社会であるから、芸能界に限らず、こういう、引き際をどうするか、みたいな問題は続々出てくるはずである。自治体の首長とか創業社長とかが死ぬまでやる、なんていいだしたら、それこそ周囲はいい迷惑である。
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ちなみにやるといえば、芸能界の子づくり最高齢は、歌舞伎俳優の中村富十郎(享年81)の74歳だそうである。上原謙(享年82)は71歳、市村正親(66)は63歳であった。下品ですまぬ。
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芸能人はまだ恵まれているほうである。少なくとも命懸けになることはあまりない。一般社会では、高齢であっても危険を承知のうえで引退できない人たちが多いのである。交通事故の原因が小型トラックを運転中の超高齢者の失神、などと聞くと切なくなってしまうのである。
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そういえば私自身、このあいだ頼んだ赤帽のドライバーがけっこうな老人で難儀させられたのである。本が入った小さな段ボール箱によろけられては見て見ぬ振りもできないのである。おかげで久しぶりに力仕事をしたのである。で、料金は通常通りである。
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さらに見回すと、近くの内科医院のオーナー医師も相当高齢なのである。大学病院を定年退職してン十年、という感じである。風邪気味だといっても、いつも看護師が申し訳なさそうな顔で血液サンプルをとり、気が向いたら胃のあたりをエコー撮影するのである。検査で稼ごうという根性が丸見えなのである。で、最後に医師ジジイが二言三言の問診をして、処方箋を出してくれるのである。
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もっとていねいに看てくれ、と文句をいうと、すぐに大型医療センターみたいなところへの紹介状を渡されるのである。しかしその紹介状もあまり効力はなく、延々半日ほどロビーで待たされたりするのである。いつまでも営業し続ける高齢の医師にも困るのである。
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高齢者が運転する車にはねられて救急搬送されたらそこにも年寄りの医師しかおらず、検査だけでたらい回し、などとなったら目も当てられないのである。さらにそんなとき、よりにもよってユーミンのライヴ歌唱が流れてきたら、私ならば全力で絶叫するであろう。歌がいくら酷くても命までは奪われないだろうが、回復まで長引かされることはあり得るような気がするのである。もう、現実にそういう時代がきているのである。(了)


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