『SMAP×SMAP』(フジテレビ)での謝罪会見は1月18日であった。しかしあれからというもの、日々、違和感が募るのである。40男が5人も雁首揃えて、なんであそこまでボッコボコにされにゃならんの? という同情5%+憤り95%の感じである。
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黒幕は、いうまでもなくはっきりしているのである。メリー喜多川(89)である。残留を決めた木村拓哉(43)以外の4人は絶対に許さない、と息巻いて、結局、芸能界、芸能マスコミ、メディアをも手玉に取ったのである。
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確かにメリー喜多川、逆らった者は許さず、去る者は追い落とすという、ジャニーズ事務所の掟とオノレの信条に傷はついたのである。しかし、周囲のすべてを巻き込んで、どうかSMAPを解散させないでくれ、と平身低頭させたことで、実質的には完全勝利したのである。
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しかも、この騒動のルーツをたどっていくと、ご承知の通り『週刊文春』誌上での飯島三智(58)への暴言「娘のジュリーと対立するなら、すぐにSMAPを連れて出ていけ」がひきがねになっているのである。去年1月のことである。で、さんざ罵倒された飯島三智はついにジャニーズ事務所にいられなくなり……、という流れである。
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つまりメリー喜多川は自分で種をまき、SMAP以下のおおぜいに水やり、肥料やりなどをさせ、大きく稔ったその収穫すべてを掌中に収めたのである。たいしたものである、というか、どうしてこんなババアひとりにここまでの好き勝手放題が許されるのか、と思うのである。
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で、メリー喜多川がどんな女でどんな経歴のもち主か、という話は1月15日の当ブログに書いたのである。まあ、“男勝り”をはるかに超える強烈な個性なのである。しかも“89歳という高齢にもかかわらず”なのである。そこで今回は、この“89歳”に注目して考えたいのである。
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メリー喜多川は1926年12月25日、アメリカ・ロサンゼルスに生まれている。メリークリスマスである。このとき太平洋を遠く隔てた日本では、大きな歴史的出来事があったのである。25日午前1時25分に大正天皇が崩御されたのである。まあ、時差が17時間あるけれども、そんなことは気にしないのである。ともかく、メリーの誕生日は1926年12月25日であり、それは大正15年であり、昭和元年なのである。
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こんなふうに書くとメリーがなにか特別な星のもとに生まれてきたように錯覚されるかもしれないので書き添えておくのである。メリーの生年月日は「ハナ肇とクレイジーキャッツ」の植木等(享年80)とまったく同じである。おお、そういえば植木等の父は、そのとき真宗大谷派名古屋別院で僧侶になるべく修行中であったし、メリーは高野山真言宗米国別院の僧侶、喜多川諦道の長女なのである。ただの偶然である。
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では、89歳というババアはどれくらい年寄りなのか? である。厚生労働省が昨年発表した2014年における日本の平均寿命は女性86.83歳、男性が80.50歳である。メリーはすでに平均年齢から6年も多く生きているのである。
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次に総務省統計局のデータを見ると、85歳以上90歳未満の女性の数は351万人、これが90歳以上95歳未満になると142万人に減るのである。総人口に対する割合は、それぞれ2.77%、1.12%である。
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さらに健康寿命は、日本女性の場合、平均75.56歳である(2013年、ワシントン大学ほか調査)。メリーはそこから14歳もオーバーしているのである。というわけで、ただ元気に生きているというだけで、89歳のババアというのは、数万人にひとりくらいの稀少な存在なのである。
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そのうえでの、飛び抜けた闘争心とエネルギーである。まあ、特別天然記念物クラスである。バケモノといったほうがいいかもしれない。私の実家にも今年94歳になるババアがいる。このババアもきわめて気の強い女で、どんなことがあっても、絶対に自分の非は認めないヤツだったのである。
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そればかりか、いつも大きなマスクで口許を隠しては悪態ばかり吐いていたのである。しかし、それでもさすがに90歳前後からは少しばかり気が弱くなり、都合の悪いことがあると耄碌してわからないふりをして逃げる戦法を覚えたのである。メリーの足元にも及ばないのである。であるから私にはメリーの凄さが実感できるのである。
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メリーの怪物性は、同じ89歳を並べてみるとよくわかるのである。菅井きん、渡邉恒雄、石井ふく子、小柴昌俊、森英恵。みなさん、もうすでにひと通りの仕事をやり遂げた感じの方々ばかりである。しかしメリーはまだまだ現役なのである。娘の藤島ジュリー景子(49)に権限を委譲しつつはあるが、そのまま隠居に納まるはずもないのである。院政を敷くであろうことは目に見えているのである。
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ラスプーチン(享年47)を思い出すのである。ラスプーチンを殺すのはたいへんだったのである。青酸カリ入りの食事を平らげても変化なく、鉄製の重い燭台で背後から頭蓋骨を砕き、さらに大型拳銃で銃弾を4発打ち込み、ようやく倒れたもののまだ息はあったのである。
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そこで殴る蹴るの暴行のあげく窓から道路に放り出しても、なおも生きていたのである。で、最後は絨毯で簀巻きにし、凍りついたネヴァ川に押し込んだのである。で、3日後に遺体を検視してみると、肺に水が入っていたのである。つまり死因は溺死だったのである。
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いやいや、ことさらメリーをバケモノ扱いしたいわけではないのである。なにがいいたいのかというと、ごくごく稀にだがそういうケタはずれの人間は存在するということなのである。そしてメリーもその列に加えてもいいのではないか、と思うのである。どうか?
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で、考えるのである。メリーの気持ちをである。そんなものはわかるはずもないので、まずは自分がもしふつうの89歳だったらどんなふうに世界を眺め、人生を考えるのだろうか、と考えるのである。
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おそらくこの先10年は生きていないだろうから、あとを濁さぬよう、また世の中の邪魔にならぬよう簡素なくらしに努めるとか、あるいは、いつ死んでもいいように恥ずかしいものを整理しようとしてやっぱり捨てられなくてウジウジとしている、といったようなところが関の山だと思うのである。いずれにしろそのようして人生の最期のほうに向いて生きていると思うのである。
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で、メリーになったつもりで考えてみるのである。自分をモノサシにしてあてがうと、よくわかるのである。金はある。年収8億円といわれているのである。もうこの段階で私ならなにも考えなくなるのである。これで十分ではないか。
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娘のジュリーはすでに婿養子をもらって落ち着いている。女々しい弟のジャニー(84)のことなんかどうでもいい。恥ずかしくない暮しをするくらいの金はもっているはずである。面白くないのはSMAPのマネージャーである飯島三智(58)が調子に乗って、なにかにつけ独断専行することくらいのものである。自分もこの先長くはないのだから、飯島との結着はつけておいたほうがいいだろう。それはただ気持ちの問題として。
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で、『週刊文春』のインタビューなんかでチクチクやって、やっと追い出す目鼻がついたのである。しかし、そこに中居正広(43)以下、つまり木村拓哉(43)以外の4人が飯島と一緒に出ていくといいはじめたのである。いったいなにをしてくれるのだ、である。
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この機会に、一気に事務所内部をジュリー中心に一本化して、せっかく後顧の憂いなく、というところまでたどり着けた、と思ったところなのである。それをいったいどうしてまたわざわざ引っ掻き回してくれるのだ、である。
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そらほんまアタマに血が上りまっせ、正味の話(by横山やすし、享年51)である。逆らった者は許さないし、出ていった者には相応の苦労をしてもらう。それがジャニーズ事務所の掟であり、メリー自身の信条である。
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で、ここでメリーは宣言したわけである。中居以下の4人は絶対に許さない、と。その結果SMAPが解散し、ジャニーズ事務所に巨額の損失がもたらされようと、それならそれでもういいのである。経営を誰かに譲って、喜多川一族は身を引けばいいだけの話である。
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おそらく1月18日の謝罪会見に到るまでに、中居正広以下4人は、ここの部分でそうとう厳しく叩かれたのである。ジャニーズ事務所を潰す気か、と。それならそれでこちらはかまわないけれど、自分たちの欲で事務所を潰してしまったお前たちに生きる道はないよ、というようなことであろう。そういわれては頭を下げるしかない。
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つまり、いざとなればメリー喜多川は自爆しかねないというリアルな恐怖があったからこそ、芸能界、芸能マスコミ、メディアなどがひとまとめに震え上がったのである。ほとんど自爆テロの恐怖である。というわけで飯島は追放したし、SMAPの首根っこは完全に押さえたし、これで安心してジュリーに継がせられるのである。
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メリー喜多川が勝利の代償に支払ったのは、オノレの信条に入ったひびと、ジャニーズ事務所の掟に例外をつくってしまったことである。さて、これをどうするのか? これからまたその失地回復を企てようとするなら、メリー喜多川はケタはずれのバケモノの列に入れてよいと思うのである。
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逆に今回の一件でひと安心し、脂が抜けていくのなら、やっぱりメリーも人の子だったんだねえ、ということになるのである。私としては、もちろん人の子なんかにはなってもらいたくないのである。そしてあがいてあがいて、最期はやっぱり近藤真彦(51)の腕のなかで静かに「千年恋慕〜」(2014)とか歌ってもらいたいのである。どんな歌かはしらないが。(了)


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