あっけなく終わってしまいましたね、「SMAP分裂騒動」。世間ではメリー喜多川(89)の圧勝、みたいな話になっているようです。でもこれ、正確には飯島三智(58)とSMAPの自滅です。そしてこの一件は、このあと長くジャニーズ事務所を苦しめるはずです。今回はかなりキツい内容なので、デスマス体で一見やさしげに書きます。
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世間様がなにをもってメリー喜多川の圧勝、といっているかというと、SMAPの5人を、いわば無条件降伏のカタチでジャニーズ事務所にとどめ置くことに成功したからです。損害は予定されていたドームツアーのキャンセルくらいで、そのほかの仕事へのダメージはほとんどゼロ。でもってこれからSMAPはいいなり。ますます盤石なジャニーズ帝国というわけです。
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しかし、メリーは、事務所からの解雇が決まっている飯島三智と行動をともにしようとした中居正広(43)以下の4人に「絶対に許さない」と激怒していたのです。それはジャニーズ事務所の掟を破る行為であり、背いた者には容赦しないメリーの信条に真っ向から挑むものだからです。それはただの感情の爆発ではなく、侠気に近いもののように思います。
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では、今回、SMAP5人全員の残留を許したことで、ジャニーズ事務所の掟とメリーの信条は守られたのでしょうか? メリーのプライドは保たれたのでしょうか? 答えはNOです。「えー!! 1回辞めるって半分出ていった連中をまた戻していーのー」というトシちゃん(54)の叫びが聞こえるようです。
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ですから、私は仮にメリーが4人の謝罪を受け容れたとしても、ジャニーズ事務所本体には戻さず、とうぶん他の事務所の預かりのカタチにしてもらうか、またはSMAPの事務所を新たに子会社として立ち上げるか、だと予想していました。そうしなければ辞めていったトシちゃんたちOBや、いまいるジャニーズ事務所所属のタレントたちに示しがつきません。なによりメリーの信条にひびが入ります。
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信条、プライドという個人的な観点から見れば、なんのことはない、メリーも完全降伏しているわけです。なぜでしょうか? ジャニーズ事務所が外圧に耐えられなかったからです。
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1番目の外圧は、単純に経済的損失の大きさです。年間250億円といわれるSMAPの稼ぎを失うほか、仕事のキャンセルで発生するペナルティなど、総額では莫大な金額になります。2番目の外圧はテレビ局、広告代理店などメディアからのSMAP存続要請です。現状、みなSMAPがいないと仕事にさしつかえるのです。
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3番目はファンと世間のパワーです。解散だけは回避してほしい、という意見が世論の大半だったように思います。で、4人を絶対に許さないと息巻いているメリー喜多川には、そんな世間からの厳しい批判のまなざしが向けられはじめていました。
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1番目の経済的損失の大きさについては、もしほんとうにメリーが絶対に4人を許さないつもりであったなら、最初から覚悟していたはずです。でなければ「絶対に許さない」などというのはただの脅し文句だったということになります。
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しかし……。あーあ、ガッカリ。もちろん、外圧に耐えられず、結局は中居正広(43)以下の4人も受け容れることになるとは最初から予想していました。しかし、これではあまりに呆気ない、諸手を挙げての全面降伏ではありませんか。こんなことでは、本当にあなた、ただのゴーツクバリのやり手バーサンではありませんか、メリーさん。せっかく少し好きになりかけていたのに。いえいえ、まだ完全に見捨てたわけでもありませんけど。
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まあとにかく、少なくともジャニーズ事務所としては外圧に屈してSMAPの残留を受け容れた、と。さて、これでこれまで鉄壁を誇ってきたジャニーズ事務所の「去る者は追わず、追っ払う」式の規律に、わずかながらほころびが生じたわけです。例外ができてしまったのです。
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例外ができたということは、つまり0が1になったようなものなわけです。OFFがONになったようなものです。0にいくつ掛けても0ですが、これからはそうはいきません。メリーに関していえば、絶対専制君主のメリーもやっぱり人の子だったんだね、と、まさに天から地へのランクダウンです。われながらくどいですねー。でも、これはそれくらい重要な問題なのです。
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ということで、これからジャニーズ事務所の統制は徐々に弛んでいきます。その震源、火種となるのはもちろん出戻りのSMAPです。完全降伏させた、などとタカをくくっているととんだ痛い目にあいますよ、メリーさん。
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少し話がそれます。SMAPの面々、今回の分裂騒動では、これも実に簡単に空中分解してしまいました。飯島三智も含めて全員できちんと話し合いをしていなかったからです。ですからメリーやジャニーズ事務所が勝った、というわけではなくて、ほんとうに基本的なコミュニケーションを怠った、中居正広以下4人の幼稚さで自滅してしまったわけです。
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まあ、去年の9月から10月の段階で、飯島三智も含めSMAP全員でしっかり話し合っていれば、こんなに大きな問題にもならなかったのです。それをしなかったというのは、ですから信じ難いミス、というか、どうなんでしょう。ふつうなら各メンバーのあいだがどれだけギクシャクしていても、お互いの意思確認くらいはすると思うんですけどね。
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この時点では、きっと中居正広以下の4人、きっと夢ばかり見ていたのでしょう。いろいろな意味で。とにかく、全体の話し合いがなかったなんて戦略以前の問題です。大事なのはホウ(報告)レン(連絡)ソウ(相談)、ですよ。みなさん。ご存じでしょうね、ホウレンソウ。
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話を戻します。SMAPがなぜジャニーズ事務所の火種になるかというと、自分たちへの支持の大きさを実感したからです。育ててくれたマネージャー、飯島三智がいなくなっても、自分たちにはメディアや世間やファンという巨大な後ろ盾があるのだ、と自信をもったわけです。ジャニーズ事務所だけがパワーではない、と知ったのです。
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たとえば17日の報道では、気の早いことにメリーは今回のペナルティとして、SMAPに「24時間テレビの100kmマラソンをさせる」と喚いているらしいのです。しかし謝罪のためとはいえ、親方の指図でヒーヒー働かされているアイドルの惨めな姿を誰が見たいと思うでしょう? 私は見たくありません。世間やファンも同じでしょう。そういうことです。この無言の圧力がこれからのSMAPの扱いを難しくします。
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もちろん社内的な処遇も難しいところです。とくに木村拓哉(43)です。所属タレントの序列は、現在のところマッチ(54)を筆頭に東山紀之(41)、堂本光一(37)、滝沢秀明(33)だとされているらしいのです。そのどのあたりに割って入るのか、です。まあ、東山紀之の次くらいでしょうか。いずれにしろ序列といってもメリーの“お気に”の順番に過ぎないのですが。
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いまは「木村のことは必ず守る」「これからは木村の時代だ」がメリーの口癖だそうです。いや、そろそろお前が守ってもらう番だ、という気がしますが。ともかく、これからの拓哉の待遇を見て歯ぎしりするヤツが必ず出てきます。で、事務所内に不協和音が響き渡る、と。いいですねー。
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あと細かいことをいえば、拓哉の筋論「売れたからといって育ててくれた会社を辞めることはできない」にしても、今回、ジャニーズ事務所とメンバーとのあいだに立って事態の収拾に貢献したことで、ずいぶん義理は果たした、と考えるようになる可能性はあります。静香(45)とジュリー景子(49)だっていつ喧嘩するかわからないし。
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で、このSMAPという火種は、飯島三智の沈黙を担保にしています。つまり飯島三智はジャニーズ事務所に対して沈黙を守ることで筋を通しています。とうぜん中居正広以下4人としても、ジャニーズ事務所のほうも筋を通せ、という考えになります。
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さらにジャニーズ事務所は、おそらく飯島三智の論理がよくわかっていないのです。メリーとの対立の、その中身がわかっていない。まあ、わかることはそれ自体タブーみたいなものでしょうけど。
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たとえば、飯島三智の立場としては、「私に逆らうならSMAPを連れて出ていけとおっしゃられたので、その通りにしようとしたまでです」ということもできるわけです。例の『週刊文春』2015年1月29日発売号のインタビューで、メリーははっきりとそういっているのです。
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しかし、飯島三智は沈黙を続けています。しかも飯島三智なら暴露話のネタなど山ほどもっているでしょう。ということで、ジャニーズ事務所としては、厄介ではあるけれども、ただ飯島三智が沈黙を続けることを願うしかないのです。対策のしようがないのです。
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飯島三智が沈黙を続けている限り、ジャニーズ事務所は三智に対してもSMAPに対しても慎重な態度をとらざるを得ないのです。しかしたぶん、飯島三智はそんな深慮遠謀から沈黙しているのではありません。それは泥仕合を避けるオトナとしての見識であると思います。これから、暴露話の誘いがいろいろもちかけられるはずです。それには応えないでいただきたいのです。あ、でもやっぱり応えてみてもほしいのです。面白いから。
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さて、冒頭で「この一件は、このあと長くジャニーズ事務所を苦しめるはず」と書いたもうひとつの理由は、ジャニーズ事務所の体質が世間にあまねく知れ渡ってしまったことです。体質とは、メリー喜多川がひとりで束ねているワンマン企業であるということ、そしてメリー喜多川の経営者としての感覚が決定的に古い、ということです。
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ちなみにジャニー喜多川(84)が経営にほとんどタッチしていないことは、国分太一(41)が結婚したときに出したゆるーいコメントが注目されたときに指摘しておきました。「遠慮なく適齢期になったら結婚すべきです。将来、子供も必要だしね。人として当然のことです」ってやつです。
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そしてその舌の根も乾かないうちに大野智(35)が、「2度と会いません」と全面謝罪させられる羽目に陥るわけです。ジャニーがなにをいおうとお構いなし。掟は掟。「あれー、大野クンって適齢期じゃないのー」です。ジャニーいい面の皮だったのです。とうぜん今回のことでもジャニーは完全に蚊帳の外です。なかにはジャニーの口利きを期待するような声が散見されましたが、それはそもそもないものねだりというものです。
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で、ライバル事務所から見ると、敵はメリー喜多川ひとり、ジャニーズ事務所恐るるに足らず、みたいな印象になるわけです。まー、89歳ですからね。みなさん切歯扼腕しつつ、首を長くしてそのときをお待ちでしょう。メリー以降のジャニーズ事務所はさんざんに食い散らかされるでしょうね。
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と、そこで、です。「メリーを完全に見捨てたわけではない」と先に書いたのは、まさにこのタイミングで娘ジュリー(49)への権限委譲がすすめられているからです。これまでの、飯島派のほかにメリー派、ジュリー派、と分かれていたいわゆる“派閥”も、すでに一本化されています。
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たとえば、1月15日に木村拓哉(43)が「あいつらとやりたい」とメリーに直談判したのは電話ででした。しかしその後の緊急会談に出てきたのはジュリーだったのです。さらにジュリーは、1月19日の『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)でのSMAP5人揃っての謝罪にも同席する予定だったそうです。実現はしませんでしたが。
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面白いのはジャニー喜多川で、19日の『SMAP×SMAP』での謝罪会見で、草彅剛は「ジャニーさんに謝ることができた」といっています。謝罪の席にもメリーが同席していたかは定かではありません。メリーとしてはこのタイミングでジュリーに権限を委譲することで、自分の全面降伏を帳消しにしようという魂胆があるようです。言葉が悪ければ、かろうじてメンツをたもとうとしています。
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というのは、こういうことです。私はジャニーズ事務所のことを思う娘ジュリーにさんざん諭されて、まったく本意ではないのだけれども、SMAPの4人に対して折れたのである、そして考えてみれば、母親の情としても、次代を担うジュリーに、スタートからSMAP解散などという重大なマイナスを背負わせるのは酷すぎるであろう、と。
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さらに、しかし4人を受け容れることで事務所の規律に反し、私自身の信条を曲げたことは事実である。けじめをつけなければならない。それで、少し予定よりは早いが、私自身はトップから引くことにした、というシナリオです。うむ。もしこの通りであれば、私はまだメリーのことが少し好きです。
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おお、ジャニーさん。忘れていました。まだいたのですか。そうですか。ということで、1月19日の、おそらくは午前中にメンバーが揃って直接謝罪に出向いた先に待っていたのは、ジャニーだったのです。本社はマスコミに張られているので、どこか本社以外の場所です。
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ジャニーはすべてお膳立てが整ったうえでノコノコと出てきた、“謝ってもらう人形”みたいなものだったわけです。で、またなにかゆるーいことを話した、と。このあたり、メリーのやり方はさすがです。
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どうなんでしょう。メリー喜多川はただの業突く張りのやり手ババアなのでしょうか? それとも、強大な外圧に屈しはしたものの、最後までメンツと信条を守り通そうとした切れ者経営者なのでしょうか? ……ああああ、今日もそんなこんなで、なんとなく、私の平凡な1日は暮れていくのです。(了)


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