『SMAP×SMAP』(「フジテレビ」1月17日放送)での、5人雁首そろえたナマ謝罪で一件落着したはずの「SMAP分裂騒動」である。しかし、まだまだ完全収束にはほど遠いようなのである。『サンケイスポーツ』(1月20日5時配信)によると、その『SMAP×SMAP』の楽屋も「当初から残留を決断していた木村と、独立に動いた4人は別々だった」のだそうである。
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さらに草彅剛(41)のコメントの「今回ジャニーさんに謝る機会を木村クンがつくってくれて、いま僕らはここに立ててます」のくだりは、もともと中居正広(43)のために用意されたものだったのだそうである。それを正広が渋り、雰囲気を察知した剛が自分からかって出て引き取ったらしいのである。
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だよなあ……。そう、いま私は「木村拓哉★裏切者説」に転びそうなのである。去年の9月くらいの段階で、マネージャーの飯島三智(58)も加え、SMAP全員でしっかり話し合っていれば、こんなに大きな問題にはならなかったはずなのである。
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なのになぜ全員での話し合いをしなかったのか? と不思議は不思議だったのである。しかし生来、人の好い私は、それを「信じ難いミス」と片付けてしまっていたのである。だよなあ、いくらなんでもそんなミスはしないよなあ。でもって昨日は以下のように書いたのである。なんとも煮え切らない文章である。
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《この時点では、きっと中居正広以下の4人、きっと夢ばかり見ていたのでしょう。いろいろな意味で。とにかく、全体の話し合いがなかったなんて戦略以前の問題です。大事なのはホウ(報告)レン(連絡)ソウ(相談)、ですよ。みなさん。ご存じでしょうね、ホウレンソウ。》
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はずかしいことである。しかしそのほかの部分については大筋外していないつもりである。そして、私がお人好しであるというのはウソではないのである。苦し紛れの弁解ではないのである。その証拠に、ことが起こってしばらーく経ってから、ようやくそこに悪意があったと気付くことが少なくないのである。まあ、証拠といっても見せられるものでもないが。
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小学校の担任教師のえこひいきに気付いたのは20歳を過ぎてからである。あとになって気付くと本当に腹が立つものなのである。純真な子ども心をいまになって傷つけやがって、と。教師の家を探し当てて怒鳴り込んでやろうかと思ったくらいである。まあ、十数年も気付かないのだからボーッとした子どもであったことも確かだが。
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で、お人好しだからか、それともボーッとしているからなのか、木村拓哉(43)はいいヤツだなー、と思い込んでいたのである。しかしあの謝罪会見の荒涼、殺伐とした雰囲気を思い出すと、どうしてもいいヤツだなー、ではすまされない感じもしてくるのである。
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で、改めて考えると、中居正広以下4人は今年に入ってからも、ジャニーズ事務所以外の受け皿を探していたようなのである。とうぜん拓哉抜きで。SMAPなんか知ったこっちゃない、である。もう、こうなってくると登場人物、全員悪党である。all or nothing. これも私の性格かもしれない。
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そういえば、むかし「人間なんてみんな汚いものなんですよ」と、ある大学の教授が突然ぼっそり、しかししみじみ呟いて驚いたことがあるのである。もう還暦間近のジーサンである。なにがあったのかは知らぬが、それまでの人生の総括がそんなことだとしたら、寂しすぎやしないか、と思ったのである。
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スターやアイドルに、自分の人生観や世界観を重ねて見ている人は、決して少なくないはずである。この場合は、ああ、やっぱり人間ってそんなものだったんだ、と。しかし「木村拓哉★裏切者説」はなかなか有力である。拓哉が最初からSMAPからの独立を考えていたとしたらツジツマが合うのである。
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飯島三智(58)がジャニーズ事務所を退所する決意を示したとき、拓哉はこれがSMAPからの独立のタイミングだと読んだのである。で、自分は意思表示を明確しないまま、中居正広以下4人とジャニーズ事務所のなりゆきを窺っていたのではないのか、と考えられるのである。
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そしてメリー喜多川激怒→4人は絶対に許さない、の流れを見て、12月中旬に、ジャニーズ事務所に残留の意向を伝えた、と。このとき拓哉はそのまますんなりとSMAPと袂を分かてると考えていたのである。しかし世間から裏切者扱いされはじめたので、一転、メリーとの仲介役に立った、ということなのでは、と推察されるのである。
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しかし、とりあえずは、1月21日発売の『週刊新潮』に、メリー喜多川の単独インタビューが掲載されているそうである。であるから「SMAP分裂騒動」については、ここは焦らず、それを読んでから、また改めて考えたいと思うのである。
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SMAPとジャニーズ事務所、アイドルと芸能ビジネス、ということを考えているうち、チョコレートに行き着いたのである。われながらベタな連想である。チョコレートの原料であるカカオ豆の生産には、多くの子どもの奴隷がかかわっているのである。甘く美味しいチョコレート菓子の背後に、子どもの悲惨な労働実態、なのである。アイドルも似ていないか、といいたいわけである。
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どういうわけか新しいデータが見つからないのである。なので、2002年に国際熱帯農業研究所 (IITA) が行った調査結果である。世界のカカオ生産の7割を占める西アフリカのコートジボワール、ガーナ、カメ ルーン、ナイジェリア では、約28万人の子ども(18歳未満)がカカオ生産に従事しているというのである。そのうちの64%が14歳以下である。
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カカオ農園はほとんどが小規模な家族経営である。しかしそこで働く子どもたちには、農園経営者とは血縁関係にない者も多いのである。つまりその家の子どもではなく、どこからかやってきた子どもたちである。いまだに人身売買も行われているのである。文字通り、たとえではなく奴隷である。
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木に登ってのカカオの収穫作業など、仕事は危険でキツい。ケガをしても十分な医療が受けられるとは限らない。運よく医師に診てもらえれば、いくつもの病気が見つかったりもする。このくらいのことはすでにご承知だと思うのである。
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「日本チョコレート・ココア協会」が「日本貿易統計」をもとに発表した2014年のデータによると、日本は年間3万1759tのカカオ豆を輸入しているのである。その内訳は、ガーナから2万3542t(全体の74%)、コートジボワールからは1924t(6%)である。この2国分、あわせて80%が西アフリカ産なのである。
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先進国の豊かさは開発途上国の貧しさに支えられているのである。そんなことはいまさらここにわざわざ書かなくてもご存じのはずである。いいたかったのは、そのガーナのカカオ農園で働く子どもたちにインタビューしたところ、「ここで働けて幸せだ」という答えが返ってきたことである。なにかのビデオで見たのである。農園主、ドヤ顔であったのである。
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驚いたのである。しかし考えてみれば、その子どもたちには、ほかに選択肢がないのである。あとはどこかで野垂れ死にするしかないとなれば、どんなに辛くても農園が幸せな場所になるのである。
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日本だって他人事ではないのである。有効求人倍率が上がっているといっても、増えているのは非正規雇用者ばかりである。その一方で、財務省が発表した2014年度の法人企業統計によると、金融・保険業を除く全産業の期末の利益剰余金は354兆3774億円である。1年前に比べて26兆4218億円も増えているのである。率にして8%の増加である。企業がため込んだ金が、である。少しはこっちにも回せ、である。
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開発途上国の貧しさに支えられた豊かさを申しわけないと思っていたら、どこかからか、ほら幸せだろう? と囁く声が聞こえたりするのである。声の主、目に見えない親方はいったい誰なのだろう? といぶかりつつ、私はお人好しなので、申しわけなさと幸せのあいだでウロウロしてしまうのである。そして、きっと30年くらい経ったあとに、ここにあった悪意に気がついて歯ぎしりをするのである。
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で、そんなこんなで思い出すのが、小栗旬(33)である。もう1年以上も前になるが、役者の労働組合をつくろうとしていると聞いたのである。ジャニーズやバーニングなどの大手プロダクションにキャスティングまで握られてしまってはいい作品などできるはずがない、と考えてのことだそうである。エラいのである。おとといくらいまでは木村拓哉のことをエラいと思っていたのだが、これからは旬にするのである。
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「『自分は誰かに殺されるかもしれない』くらいの覚悟で戦わないと、日本の芸能界を変えるのは難しいっすね」とは、「Quick Japan」vol.115(太田出版)での鈴木亮平との対談での発言である。旬、ちょっと大げさかもしれないのである。
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しかし実際に、テレビ局や映画会社に小栗旬の起用を見合わせるように、との要請があったとも聞くのである。誰かに邪魔されなくても『ギャラクシー街道』(三谷幸喜脚本・監督、2015)には出ないほうがよかったのであるが。
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であるから、いつまでも「SMAP分裂騒動」なんかにうつつを抜かしていると、そんな日本芸能界の思うツボではないのか、と思うのである。しかし、今回だけは向こうのほうが、「SMAP分裂騒動」のほうが離してくれないのである。
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「SMAP分裂騒動」が落着して、これで世間もようやくベッキー&ゲス川谷に集中できるか、と期待したのである。しかし、なかなかそうはいかないのである。ベッキー、悪運が強すぎるのである。ここまでくると黒魔術である。そういえば最近、人が燃える夢をよく見るのである。気をつけなければ。
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チョコレート、カカオ豆と子ども奴隷の話は、もちろんバレンタインデーが近いから取り上げたのである。皆さん、今年もまたすっかりマーケティングにやられてしまうのである。しかも最近は男も女に送るらしいのである。バカである。冷や水をぶっかけてやったつもりなのである。やっぱり私はお人好しなのである。(了)


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