2016年3月16日水曜日

あの日「殴るぞ!!」と叫んだメリー喜多川。日本最凶の89歳





3月に入ってジャニーズ事務所とその周辺がすっかり静かになった気がします。もちろん活動が停滞しているのではなくて、それまでの騒動があまりにも強烈かつセンセーショナルだったからです。外野席の無責任な観客としては、あれはあれで楽しかったので最近は刺激が少なくて、とたいへん勝手な思いを抱いております。



ことほどさように、エンターテイメントの世界はご本人たちの必死さ加減さえひとつのコンテンツとして見てしまう、不思議で残酷な世界です。でも、やはり夢や憧れの世界に現実のドロドロは禁物です。とくにアイドル系のプロダクションであるジャニーズ事務所なら、本来ならば決して見せたくなかったゴタゴタだったはずです。



では、「SMAP解散騒動」で何が変わったのかを考えてみます。最大の、そして最も重要な変化は、藤島ジュリー景子(49)への権限委譲のスピードに拍車がかかったことでしょう。ジュリー景子にそれだけの能力があるかどうかは横に置いたカタチで、次期社長としての足場固めが着実にすすんでいます。



たとえば『SMAP×SMAP』(フジテレビ)の後番組について、ジュリー景子プロデュースによる、嵐と関ジャニ∞のダブルMCの番組が検討されているというニュースが早くも流れています(「週刊文春」3月10日号)。『SMAP×SMAP』の打ち切りもまだ正式には決まっていないというのに。ありがとう! センテンススプリング!!



その一方で、ジャニーズ事務所の代表取締役社長であるジャニー喜多川(84)の影がまったく薄いという事実が明らかになってしまいました。ジャニー喜多川はジャニーズ事務所の株式の60%を握っているのです。いくらでも強気に出られるはずなのです。しかし姉のメリー喜多川(89)がすべてを取り仕切っていてアタマが上がりません。



「SMAP解散騒動」でも、ジャニー喜多川は最後の最後、メンバーから直接あたふたと謝罪されるという、“謝まられ役”でしか登場しませんでした。忘れもしない2016年1月18日、『SMAP×SMAP』での生謝罪が行われた日の午前中のことです。



 

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こんなジャニー喜多川に対して、一時はメリーとSMAPとのあいだに入って事態をなんとか穏便にまとめてほしい、という意見もありましたが、あのときジャニーがノコノコ出ていってもメリーにグーで殴られるのがオチだったのです。いやほんとうに。



実はメリー、『週刊文春』の担当記者を呼び出し、5時間以上も取り調べのように詰問したあげく、「殴るぞ!」と脅したことがあるのです(「文藝春秋」2016年3月号)。記者は男です。ありがとう! センテンススプリング!! アンド マンスリー!!!



問題になった記事は『週刊文春』2011年1月6日発売号ですから、もう5年以上も前のことです。しかし、そのときでもメリーすでに84歳です。この怪物には年齢さえ関係ないのか? と思います。



もちろん、ついこのあいだ、SMAPの“造反4人組”に示した「絶対に許さない」という超強硬姿勢は常人の域を遥かに超えていました。89歳のメリー、84歳の弟ジャニーを殴るくらいは朝飯前でしょう。



ジャニーの名誉のために付け加えておけば、ジャニーももっと若いころには、所属タレントに怖れられるくらいには、フツーにコワい人だったらしいのです。メリーと一緒になって手を上げることもたびたびあったようです。



思い返せば、2011年に起きた「自宅に不法侵入した犯人に閉め出されてしまった事件」(当時79歳)のあたりで、ジャニーの衰えに気付いてあげるべきだったのです。そして2014年には、「自宅エレベーターに4日間も閉じ込められてしまった事件」の発生です。4日間!! これではほとんど徘徊老人ではないですか。



だいたいジャニーズ事務所の代表取締役社長ともあろうお方が4日間も姿を見せなくても騒ぎにならない、事件にならない、というのがふつうではありません。それくらいジャニーの存在感は事務所のなかに薄かったということです。



この事件について『ジャニーズ百科事典』には、「4日間飲まず食わずの状態が続いて意識朦朧とする中」、洗濯機を配達にきた業者に「助けてくれー!」と大声で叫んでなんとか無事に救出された、と書かれています。飲まず食わずもたいへんですけれども、排泄のことまで考えると、まさに地獄絵図です。ジャニー! モーロクしてんじゃねーよ!! というメリーの罵声が聞こえてきそうです。



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というわけで飯島美智(58)が追放されたいま、ジャニーズ事務所では、メリー喜多川の存在がますます巨大に膨れ上がっています。娘ジュリー景子にしても、仕事に関してはメリーの傘の下で指図通りに動く“子分”にすぎません。



すなわち、ジャニーズ事務所イコール、メリー喜多川というのが現状なわけです。政界、財界の大物とのコネクションを握り、メディア各社に影響力を発揮し、社内に圧倒的な専制体制を築き上げているメリーにもしも、のことがあれば、ジャニーズ事務所は直ちに大ピンチを迎えます。



メリーとしてみれば、自分亡き後、娘ジュリー景子にスムーズに権力を移行させたいでしょうから、なんとか弟のジャニーのほうから先に逝ってくれないものか、と願っているでしょうね。メリーという重石が外れたとき、すり寄ってくる有象無象にジャニーが毅然と適切な対応ができるかといえば、遥か遠くから眺めているこちらでも疑問ですから。



そうそう、そんなことを考えていてもしかたがないので、ここではメリー喜多川以降のアイドルというものを考えてみたいと思います。男性アイドルです。日本の男性アイドルを開拓してきたのはジャニーズ事務所ですから、ジャニーズ事務所の大きな変化は、そのまま男性アイドル像の変化につながります。



 

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まず、フラットな気持ちでジャニーズ事務所を眺めると、たいへんに特殊な集団であることに気付きます。ひとことでいうと、時間が止まった千年王国みたいなものです。この王国では、美少年たちはいつまでも美少年であり続けることを求められ、王国から一歩外に出ると“消え”てしまいます。



美少年がいつまでも美少年であり続けることを求められる、というのは、何歳になってもアイドル路線から外れられない、ということです。まあ、10代はきれいで可愛くても20代になるとだんだん体もゴツくなり、男臭くなってやがてジジイになり……、という自然な生長は認められていません。



たとえば嵐は平均年齢約33歳、SMAPだと約41歳です。それで自由に恋愛や結婚ができるかといえばそうではありません。2015年9月11日にTOKIO・国分太一(41)が入籍し、15日に発表会見をしたときのジャニーの以下のコメントが物議をかもしたという事実が、それを雄弁に物語っています。少し長くなりますが、『サイゾーウーマン』から引用しておきます。

《ジャニー喜多川社長は、「(結婚を)奨励すると言うわけにはいかない」と前置きしつつも、「適齢期になったら遠慮なく結婚すべきです。将来、子どもも必要だしね。人として当然のことです。ただ、自分の責任のもとで結婚するわけで“人気が落ちたりするのはプロダクションのせい”だと思うタレントなんていない。結婚は結婚として、本人を(自分を)認めながら信じながら、結婚するんじゃないですか。当たり前のことです。その上で我々は応援するだけです」》



ジャニーがいっている通り、“当たり前のこと”です。おお、これでついにジャニーズにも常識が……、と思った直後の9月18日、また事件が起きました。それで私たちはまた一気に現実に、というか時間が止まった千年王国に引き戻されてしまったわけです。



事件というのは、ごぞんじ、嵐・大野智(35)の同棲発覚です。掲載した写真週刊誌発売の翌日の19日には、コンサート会場の「ひとめぼれスタジアム宮城」で、急遽、大野智の謝罪会見が行われました。



その間髪を許さない素早さと、大野智の「もう会いません」という酷薄なコメントは、ジャニーズ事務所が決して異性交際についての手綱を緩めたわけではないことを、強く印象づけました。まあ、ここらあたりでジャニーにはなんの権限もないんだな、ということにも気付いたわけです。



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ともかく、先ほど書きましたジャニーズという「王国では、美少年たちはいつまでも美少年であり続けることを求められ」というのは、こういう意味なわけです。AKB48の「恋愛禁止」よりも遥かに過酷です。まあ、AKBのほうはとっとと有名無実してしまっていますが。次に「王国から一歩外に出ると“消え”」てしまうことについてです。



ジャニーズ事務所の美少年たちは、少女の憧れ、夢であるわけです。そのイメージを守るために、ジャニーズ事務所の所属タレントには細かな禁止条項が課せられています。以下は、嵐のスタッフだった人物による暴露本の第2弾『「嵐、ブレイク前夜」外伝 嵐、青春プレーバック』(主婦と生活社)からの引用です。



【ジャニーズタレント・NGリスト】

公の場に家族を出す
政治の話
宗教の話
具体的なペットの話
事務所が管理できない本人主導のクリエーティブを表に出す
私服での撮影は基本NG
メガネも基本NG
雑誌やテレビで何か食べるところを見せる



イメージ管理ですから当然のものもあれば、少し意外な感じがするものもあります。「具体的なペットの話」はかなり香ばしい感じもして、じっくり勘繰ってみたくなります。しかし、それはまた別の機会にしましょう。



こうして守られてきた美少年たちが年を取り、やがて老残の姿を晒すというのは、アイドル系プロダクションとしては、やはり望むものではありません。美少年は美少年のまま消えてしまうのが理想です。ここのところ、どこまでジャニーズ=メリーが意識的なのかはわかりませんが、ジャニーズ事務所の退所者たちの消息があまり伝わってこないというのは事実です。



 

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ジャニーズ事務所の芸能界およびメディアに対する、あまりに強すぎる影響力が退所者たちの消息を見えずらくしています。事務所を飛び出した者に対する制裁措置、いわゆる芸能界追放がその代表的な例です。しかし実際は、もう少し穏便に、退所者の扱いについては必ずジャニーズ事務所の顔色をうかがわなければならないという業界内の空気がつくられてしまっていることのほうが、かえって退所者を“消す”ことには力を発揮しているように思います。



少なくとも、ジャニーズ事務所は、退所者がその存在を主張することをあまり快く思ってはいません。それがはっきりと感じられるのが、退職者による親睦団体、いわゆるOB会のようなものがないことです。1964年の創設から数えればすでに約半世紀の歴史をもつ事務所ですから、あってもなにも不自然ではありません。



たとえば宝塚歌劇団を例にとれば、「宝友会」という同窓会と似た組織が元生徒(元タカラジェンヌ)によって1953年につくられ、いまも活発に活動しています。入会は任意で会費は年間数千円。会員証を提示すれば楽屋にフリーパスで入れるなどの特典もあります。



宝塚音楽学校には年度ごとの卒業生がいるという異なる事情はあっても、退団をお祝いとしてとらえる宝塚と、退所をどこかうしろめたいものと感じさせるジャニーズ事務所との違いは大きいと思います。ほんとうはジャニーズたちはみーんな仲が悪いから、という気もしないではありませんが。



そしてこの、「美少年たちはいつまでも美少年であり続けることを求められ、王国から一歩外に出ると“消え”」てしまう時間が止まった千年王国の実在を可能にしているのが、メリー喜多川という存在なわけです。



それは先に書きましたように、ジャニーズ事務所はすべてメリー喜多川の経営手腕に拠っているからというだけではありません。とくに事務所の内部では、メリー喜多川の存在自体がシンボルとして働いているように思います。



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「時間が止まった千年王国」は、その最高権力者であり法そのものであるメリー喜多川の無謬神話、不倒神話に支えられています。つまり、メリー喜多川に間違いや失敗はなく、したがって誰に負けることもないという思い込みがジャニーズ事務所の精神的基盤です。まあ、いってみれば独裁国家の元首みたいなものです。金日成(享年82)。



知らず知らずのうちにメリー喜多川は神格化され、ありえないとは知りつつ不死の期待まで担わされています。そのメリー喜多川が最期を迎えたとき、時間が止まった千年王国の神話のベールは取り払われ、とても奇妙な芸能プロダクション、ジャニーズ事務所が姿を現すことになるでしょう。



つまりメリー喜多川が没した後の男性アイドルというのは、実に賞味期限の短い、次々に生まれては消える泡沫のような存在にしかならないように思います。私などはそちらのほうがむしろ自然なのだという感覚ですけれども。



ジョージ・オーウェル(享年46)の近未来を描いた小説『1984』は、独裁者はいつもモニターからメッセージを送ってきて、ほんとうは生きているのか死んでいるのかさえ誰にもわからない、という設定で描かれていました。死後のメリー喜多川もどうでしょうか、独裁者BIG BROTHERならぬBIG MAMAで。



あっそうか。うっかりしていました。こちらのBIG MAMAは強烈なデジタル嫌い、ネット嫌いなのでした。表紙に所属タレントの写真が掲載されている雑誌の、その表紙の写真すらNGなのでした。ですからもしそんなことになったら、たぶんあの世のどこかで、また誰かにパンチを食らわせているはずです。(了)




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