2016年3月8日火曜日

門真市バラバラ、福生市顔剥ぎ。2件の猟奇事件の最終報告





大阪府門真市で起きた「遺体損壊・遺棄事件」で、すでに死体損壊と死体遺棄、詐欺などの罪で起訴されている森島輝実被告(29)が、2016年3月7日、強盗殺人と窃盗の疑いで再逮捕されました。



また2月19日には、東京福生市での「顔面剥ぎ死体事件」について、事件性は低いと福生署が発表しています。いずれの事件もまだ完全決着というわけではありませんが、ひとつの節目がつきました。これまでに何度か両事件を取り上げてきた当ブログでも、いちおうのまとめをしておきたいと思います。



【東京福生市 顔面剥ぎ死体事件】

2015年11月12日に東京福生市で起きた事件のアウトラインと、その時点での私の見立てを、1月30日の当ブログ記事から引用しておきます。現時点では読みずらい箇所にだけ手を入れました。

《死亡した土田さんと同居人である第一発見者はともに飲食業従事者です。11月12日夕方、目を覚ました同居人に土田さんが発見されたときには、頭を青いビニール袋に包んで横たえられ、袋の隙間からは皮膚が剥がれた顔が見えていた、といいます。しかしその後の現場検証では、はぎ獲られた顔面の皮膚も、鋭い刃物と推定される凶器も発見されていません。》

《これについて私は、土田さんの「死」と「顔面はぎ取り」と「はぎ取った顔面および凶器の処分」は、必ずしもなんらかの目的に沿って1本の線で結ばれたものではないと思う、と以前に書きました。偶然の出来事をきっかけにして、泥縄式に行われたのではないか、ということです。》

《具体的には、死因は服毒自殺か、あるいは薬物の過剰摂取による事故であり、顔の皮をはいだのは、同居人が、土田さんの表情をあまりにも見るに忍びないものと感じ取ったからだろう、と思うのです。この辺のところ、同居人自身も記憶を失っている可能性があります。もちろん同居人は犯行を否定しています。》



でもって、2月19日に福生署から発表された内容は以下の通りです。(「共同通信」配信)

《東京都福生市のマンション一室で昨年11月、顔から血を流して死亡していた住人の男性(38)について、警視庁福生署は19日、顔の損傷はペットの犬にかまれたことが原因で、事件性は低いと明らかにした。体内からは致死量を超える睡眠薬などの成分を検出。福生署は男性が自殺した後、飼い犬が顔を傷つけたとみている。》

《福生署によると、男性は11月12日夕、頭からポリ袋をかぶった状態で死亡しているのが見つかった。男性はチワワと雑種犬計2匹と猫1匹を飼っており、法医学者や獣医学者の鑑定の結果、顔を犬にかまれていたと判明。ポリ袋の切れ端から雑種犬のDNA型が検出されたという。》



 

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警察発表のなかでのいちばんのトピックスは、“顔の損傷はペットの犬にかまれたことが原因”の部分です。睡眠薬などによる自殺という死因については、私の見立て通りでした。しかし、“顔の損傷はペットの犬にかまれたことが原因”とされたことで、「顔の皮をはいだのは、同居人(28)が、土田芳さん(38)の表情をあまりにも見るに忍びないものと感じ取ったから」という一種ロマンチックな私の推理は完全に否定されたことになります。



いいわけではありませんが、当初の報道では、顔面の皮膚は鋭利な刃物によって切り取られた、とされていたのです。で、捜査の焦点は、解剖による死因の特定と、剥ぎ取られた顔面および犯行に使われた刃物はどこにいったのか? だったわけです。



それが、まさか犬に食べられていたとは……。チワワと雑種犬の2頭にしてみれば、顔面の皮膚と肉は、ちょうど1食分くらいのボリュームだったのかもしれません。



しかし、死体の第一発見者である同居人が眠っていたのは朝から夕方までの約12時間です。いつも通りのスケジュールで餌を与えていれば、犬たちがそれほど飢えていたとは考えられません。しかも、犬だって食餌の時間がくるか空腹になれば飼い主のところへきて催促します。



それに、いくら死んでいたからとはいえ、犬はそんなに簡単に飼い主を食べてしまうものなのでしょうか? 私の犬に聞いても「クーン」というだけです。あたりまえです。しかし、どうにも納得がいかないのです。



私は剥ぎ取られた顔面と使われた刃物は、外に持ちだされて処分されたのだ、と考えていました。もちろんそのあたりは目撃者がいないかどうかなど徹底的な捜査が行われたはずですから、誰も部屋に出入りしてはいないのでしょう。



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ということは、剥ぎ取られた顔面は、被害者と同居人が暮らしていたマンションのその部屋の中で、なんらかの理由で消失したわけです。刃物を使わず。包丁1本、ナイフ1本もない生活というのも考えられませんけれども、これも当然慎重に捜査されているはずです。で、やはり室内には、凶器に使われた可能性のある刃物はなし、ということです。



血が飛び散った痕がないのは、顔面が損傷されたのは死後だからです。さて、もし顔面が食べられたのだとすれば、食べたのは飼っていた犬、猫、または第一発見者である同居人です。



ああ、あとマンションに棲みついているネズミの可能性もあります。メッセンジャー黒田有(46)が貧乏な子ども時代、ふつうに自宅で眠っていたら耳をネズミに齧られたという話もあります。



しかし、ここまでくると気やすく当てずっぽうをいうわけにもいきません。ただ、そこに飼われていた犬が犯人だ、というのが最も通りのいい、つまり呑み込みやすい答えだ、ということはいえると思います。



決して平穏ではない、困難の多い人生を送られた土田芳さんのご冥福をお祈りいたします。



 

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【大阪府門真市 遺体損壊・遺棄事件】

2016年3月7日、すでに遺体損壊と遺体遺棄、詐欺などの罪で起訴されている森島輝実被告(29)が、強盗殺人と窃盗の疑いで再逮捕されました。



容疑の内容は、2015年12月24日夜から25日の昼ごろにかけて、森島輝実の自宅マンションで、渡邊佐和子さん(25)に睡眠導入剤を飲ませたうえ、首を圧迫して殺害。さらに渡辺さんのキャッシュカードなどを奪い、25日午後、府内のコンビニのATMで現金10万円を引き出したというものです。



しかし渡辺容疑者は「カードを使って金を引き出したことは間違いない」としている一方で、「睡眠導入剤を服用させたりはしていない」と供述しているといいます。(産経新聞)



この事件についても、まずは1月30日の当ブログから、そのアウトラインと当時の私の見立てをご紹介しておきます。

《「大阪府門真市 遺体損壊・遺棄事件」では、この1月19日、かねてから容疑を疑われていた、被害者、渡邊佐和子さん(享年25)の友人、森島輝実(29)が、死体遺棄と死体損壊の罪で起訴されています。しかし肝心の渡邊佐和子さん殺害についてはまだ犯行を否認しています。》

《森島輝実は「気づいたら倒れて死んでいた」と供述しているといいます。しかしふつう、「気づいたら倒れて死んでいた」人をバラバラにして、その遺体の一部を加熱して排水溝に流したり、ゴミ置き場に捨てたりするわけはありません。森島輝実はいまだに重大な事実を隠しています。》

《事件が発覚したのは昨年12月29日で、私は31日に1回目の原稿を、そして正月3日にその訂正原稿を書いています。そのなかで、私は、共犯者がいるのではないか、と推論を立てています。その理由は、まず若い女性同士で争ったとして、相手を窒息死させるのは容易ではないだろうということ、それと、死体損壊に到るまでのあまりの手はずのよさです。》

《渡邊佐和子さんの死亡推定時刻は、12月24日夜から25日午前中にかけてです。森島輝実はその25日の昼過ぎには、ATMで渡邊佐和子さんの預金を下ろし、小型冷凍庫、折りたたみ式ノコギリ、まな板、バケツ、ポリ袋、さらに塩酸入り洗浄液などを購入して、遺体の損壊に着手しているのです。塩酸入り洗浄液!! 短時間に、しかも殺人事件のあとで、よくこのリストアップができたものだと思います。また押収品の中には、家庭用の生ゴミ処理機もありました。》

《仮に死体処理の計画はすでに入念に立案してあり、それに必要な物品を購入するための金=渡邊佐和子さんの預金を奪ってから、一気に実行に移したとします。しかし、少なくとも死体損壊の犯行現場となった森島輝実の自室では、24日の夜、友人を招いてクリスマスパーティが行われる予定だったのです。発案者は森島輝実自身です。先に入念な計画があったのであれば、こんな日に殺害を実行するはずはありません。》

《渡邊佐和子さんの生前の最後の姿は、森島輝実のマンションのエレベータ前の防犯ビデオに収められていました。森島輝実と2人で森島輝実の部屋へ上がっていくようすです。時刻は24日午後7時です。少なくともこの時点の渡邊佐和子さんは深刻な身の危険など感じておらず、このあとでなにか突発的な事情が生じて殺害されたと思われます。》

《その後、共犯者は死体の処分について森島輝実に指示をしたか、お互いに相談をしたかのあと、逃亡したのだ、と私は考えています。そして森島輝実の沈黙は、この共犯者を庇うためではないか、と。》



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で、結局、渡邊佐和子さんは遺体となって昨年12月29日未明に森島輝実の自宅マンションで発見されます。遺体は、浴室内に頭蓋骨や背骨などが、冷凍庫には肉片が袋に小分けされた状態で遺棄されていました。さらに遺体の一部は排水溝に流されたり、また一般回収ゴミとして処理されたといわれています。



またその後、2人が以前同居していた門真市内のシェアハウスからも渡邊佐和子さんの切断された両手足や肉片が見つかっています。



警察の発表にあるように、森島輝実は2015年12月24日夜から25日の昼ごろにかけて、自宅マンションで渡邊佐和子さん(25)に睡眠導入剤を飲ませたうえ、首を圧迫して殺害した、ということであれば、若い女性同士で争って相手を窒息死させるのは容易ではないので、共犯者がいるのではないか、と考えた私の推論は却下されます。



また、森島輝実は以前から渡邊佐和子さんの殺害を計画していたものの、抜き差しならない事情が発生して、やむなく急遽、殺害を実行した、と考えれば、予定されていたクリスマスパーティの夜から明朝にかけての犯行にも、いちおうの説明はつきます。



 

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ただし、そう推定するには、抜き差しならない事情が発生した時間が問題になります。クリスマスパーティは当日になってキャンセルされましたが、その通知がいったい何時ごろなされたのかはわかりません。さて、ここからは引用した前回の原稿とは少し違った推理になります。



当日のクリスマスパーティは、午後7時にはキャンセルされていた、と考えるのが妥当でしょう。前回の原稿では、森島輝実の自室に入ってから何かの事情が働いた、としていました。しかし、それではやはりパーティをキャンセルできる時間としては遅すぎる気がします。



午後7時というのは、前述の通り、森島輝実と2人で森島輝実の部屋へ上がっていく渡邊佐和子さんの姿がマンションのエレベータ前の防犯ビデオに収められた時間です。それが生前最後の記録になりました。



午後7時に渡邊佐和子さんを伴って自室に戻ってきたとき、すでにパーティはキャンセルされていたとすれば、その時点でもう、森島輝実は殺害の意志を固めていたとも考えられます。



このあたりの渡邊佐和子さんとの最後のやりとりを、森島輝実はこう話しているようです。「パーティの準備をしていて、私が1人で買い物にいって戻ってくると、渡邊佐和子さんはいなくなっていた」。そして「気づいたら倒れて死んでいた」。おかしな話です。



警察の発表ですと、渡邊佐和子さん(25)は睡眠導入剤を飲まされたうえで、首を圧迫して殺害されたとされています。超短時間作用型の睡眠導入剤なら、服用後5〜10分程度で効果が現れます。作用時間はそれから2〜4時間程度です。



服用は必ずベッドなど寝具に入る準備をしてから、また服用後は運転などはもちろん軽作業などもしないように、と注意される強い薬です。ですから、 森島輝実が同じ部屋にいて渡邊佐和子さん1人だけを眠らせるということも可能でしょう。



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警察の書いたシナリオが正しく、森島輝実が「気づいたら倒れて死んでいた」というのは、ただの苦し紛れのウソだと切り捨てることもできます。しかし、しつこいようですが、なにか呑み込めないものがあるのです。



ひっかかっているのは、事件が起きる直近までの森島輝実の行動です。森島輝実は、2015年8月に岡山から大阪へ転居しています。仕事はスマートフォンのアプリなどに使われるキャラクターの制作でした。



そして来阪から3〜4ヵ月後の11月には、渡邊佐和子(25)さんと同居していたシェアハウスから1人だけ転出して、事件の現場となったマンションに入居しています。シェアハウスとマンションとの距離はわずか300mほどしか離れていません。転居の理由は「犬を飼いたい」ということだったそうです。



で、11月に転出して空き室になったシェアハウスの自室を、森島輝実は12月末の段階でまだ確保していました。そこに切断した両手足を隠していたのです。家賃は月額3万円です。また、被害者の渡邊佐和子さんは、シェアハウスの管理業務の代行をしていました。



さて、事件の直前まではこのように、経済的に追いつめられているとはとても思えない行動をとっていた人物と、他人(渡邊佐和子さん)の身分証明証を使って借金をする手口で現金をだまし取り、それがバレて殺人に走った人物が同一、ということが、なかなか呑み込めないわけです。



 

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金銭に関して支離滅裂な行動をとる人間はたくさんいるでしょうし、ウソをつく人間はもっといるでしょう。遺体を解体したのは証拠を隠滅しようとしたからですし、24日と25日に渡邊佐和子さんを装ってご家族や知人にメールを送ったのも、とうぜん発覚を遅らせるためだ、と説明はつきます。



一つひとつの事象には説明がつきます。しかしそれらをすべてトータルして、さらに自分自身の身に置き換えて考えると、違和感が募るのです。たとえば遺体の解体というたいへんな作業をこなしながら、本人になりすまして何度もメールを送る。たとえば、頭部を洗浄剤などで処理して頭蓋骨の状態にまでしてしまう。



全体がすっきりと見通せるようにするためには、何かが足りない気がしてしかたがないのです。何か補助線のようなものです。誰かが森島輝実に金を無心していたのだとしたら、誰かが渡邊佐和子さんだけでなく森島輝実にも睡眠薬を飲ませたのだとしたら。マンションの部屋はその誰かのために借りていたのだとしたら……。もしそんな“誰か”がいるとすれば、それは悪魔のような人間です。真実はまだ闇の中です。



一刻も早く闇が払われますように、そして不条理にも若い命を奪われた渡邊佐和子さんが安らかにお休みになりますように、心よりお祈り申し上げます。(了)




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