もしいま駆け落ちをするとして、どこに逃げ込めばいいのだろう? と考えた。もちろんそんな予定はないし、そもそも相手もいない。だから駆け落ちではなくて、某国の特務機関か大木ボンド(71)に狙われている、でもいい。どこに身を隠せばよいのだろう? バカである。そのうえヒマ。
*
ひとむかし、いやふたむかしほど前には、駆け落ちの受け皿はパチンコ店とほぼ相場が決まっていたのである。いまのように企業化、大型店化がすすむ前のパチンコ業界には個人商店レベルの店がたくさんあって、それほど詮索もされず、とりあえず今日から2人住み込みで働く、ということができたのである。であるから借金問題で逃げたとかいう場合の、社会のセーフティネットといういわれ方もしていた。
*
しかしいまやパチンコ業界もいちおうは合理化がすすみ、大卒社員を採用する時代である。身元のはっきりしない2人を受け入れてくれるところはほとんどない。
*
“いちおう”と断ったのは特殊景品の問題が解決していないからである。パチンコ店が客の出玉を直接、買い戻すことは法律で禁じられているので、最初から換金を目的にした景品と交換し、それを別会社名義の窓口で買い取るのである。買い取った景品はさらに業者を介して元のパチンコ店に売られる。いわゆる「3店方式」である。むかし小学校で習った「三角貿易」みたいなもものである。これが禁止されればパチンコ業界は瞬時に壊滅する。危なっかしい。あ、そういうことをいっている余裕はないのである。
*
その次になんとかしてくれそうだったのが新聞販売店である。ここは相変わらず個人商店レベルの経営が続いていて、以前はけっこう儲かってもいたから、やはりいきなり2人住み込みで働くということもできたのである。しかしいまや三大紙のどこが最初に夕刊を廃止するか、と噂される時代である。インターネット普及のワリをまともに受けて先細りの一方である。強引な勧誘が社会問題視もされたから、身元がはっきりしない2人を雇い入れてもらうのは難しい。
*
いまは住所、住まいがなければ、まともな就職活動はできない。いきなりの2人での住み込みがムリならば、1人づつに別れてそれぞれ働き先を探すしかない。男は建設現場、女は水商売が手っ取り早い、という話になる。で、たぶんそれが別れの第一歩になる。なんのための駆け落ちだったのか。悲しいことである。まだなにも起きてはいないのだけれども。
*
ところでさっきから不思議なのだけれども、どうして私はこんなふうに意味もなく追い詰められているのだろう。もし駆け落ちするとして、と考えること自体がやはり尋常ではないような気がする。しかし実際に追われている、追いつめられている心あたりはまったくない。なんだろうなあ、と思ってよくよく考えてみると、怖いのである。そしてその怖さから逃げていく場所がないからさらに怖さが増すのである。
*
なにが怖いかというと、陳腐かもしれないが、まずはテロである。ISは日本および日本人もターゲットだと表明しているのである。ISが崩壊しても、その残党が世界各地に散らばり、一部が日本にも侵入してくる可能性はある。もちろんISに限らず、日本がアメリカに追従する姿勢をとり続けるかぎり、反アメリカを掲げる集団に狙われる可能性はいつもある。いや、いつか必ず国内で深刻なテロが起きるという予感がある。いつどこで起きるかはわからない。逃げられない。
*
ああ、そういえばここ数週間、日本をあまり敵視するのはよくないなどと意表を衝く論説を出す一方で、南シナ海での活動をやたら活発化させている中国も不気味だ。もし軍事的な衝突が起こって、太平洋に追い落とされるようなことになったらどうしよう? 確実に領海内で溺れ死ぬ。逃げられない。
*
北朝鮮、というか金正恩(32)もバカげていて幼稚なぶん、なにをしでかすかわからなくて怖い。とにかく自分勝手に押し切ってしまえばなんとかなるという、いわば他人さまのやさしさに支えられた外交のメッキが完全に剥がれたいま、突発的な暴走に走る可能性は十分にあると思うのである。滅びるのは世界か私か。金正恩は、そういう天秤をもっている。
*
さらに大地震である。もちろん被災地域にいれば逃れられない。南関東直下型、東海沖、いつ大地震が起きてもおかしくないといわれて何年経ったことだろう。南関東直下型といわれる地震については、今後30年間に70%の確率で発生するといわれているのである。正直、地震はもう想像したり考えたりすることにさえウンザリしてしまっている。しかし必ずいつかやってくるのである。
*
怖い怖いと不安をまき散らすつもりはないけれども、これほどの心配が重なるとさすがにイヤな気分なのである。なんというのか、バチがあたるぞ、という感じなのである。バチ? おお、やっぱりアレか。あの大ウソは棘のように心に刺さっていて、いまやそのまわりが化膿しはじめている気配なのである。この禍々しさ、不吉さが不安に拍車をかける。
*
「フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません」—《安倍首相「アンダーコントロール」のウソ》(「WEBRONZA/朝日新聞社」2013年09月18日)より
*
2013年9月7日、ブエノスアイレスでのIOC総会で安倍晋三首相がシラを切ったものの、東京オリンピック・パラリンピック関連には、ロクなことがない。まず当初3000億円と見積もられていた予算が一気に膨れ上がった。一説には6倍、1兆8000億円にも達しているといわれている。
*
under controlのはずの福島第一原発の汚染水対策も、とてもではないが万全ではない。ようやく今年2月に完成した1~4号機周辺の「氷の壁」は、水位のコントロールを誤れば建屋内にたまった高濃度汚染水が敷地外にあふれ出るリスクがあり、そもそもの効果も不透明だといわれている。ところで「氷の壁」ができる前の地下汚染水はどこへいっていたのだろう?
*
汚染水から62種類の放射性物質を除去できる「ALPS(アルプス)」という設備もある。しかしこれは放射性トリチウムを取り除くことはできない。水からトリチウムを取り除くことは技術的に困難で、すでに約61万トンもたまったトリチウム水をどう処理するかも課題である。
*
さらに1~3号機で溶け落ちた核燃料(デブリ)の場所はまだ確認さえできていない。回収できたのは4号機の使用済み核燃料プールの核燃料だけである。福島第一原発の廃炉作業は、まだスタート地点にさえ立っていないのである。もし万一、さらなる放射能漏れ、放射能汚染が起きて東京オリンピック・パラリンピックがボイコットされるなどという事態になったらどうするのだろう。
*
細かなことをいえば、新国際競技場の整備計画のやり直しやエンブレムのデザイン盗用があり、当初、新国際競技場のデザイン・コンクールで最優秀賞に選ばれた設計者のザハ・ハディド(享年65)はその後逝去している。また、東京オリンピック・パラリンピック招致の旗振り役だった猪瀬直樹(69)は、「徳洲会」グループからの5000万円提供問題で東京都知事を辞職。ついでにいわせていただければ、ボランティアの制服がダッサーい。
*
さらにあろうことか、2016年5月にはフランスの検察当局が東京オリンピックの不正招致疑惑を公表したのである。招致委員会がシンガポールのコンサルタント会社に支払った約2億2千万円の契約料の実態が問われているのである。フランス検察当局とシンガポール汚職捜査局が捜査を進めているので、いずれ疑惑は解明されていくはずである。電通が絡んでいるからかマスコミはほとんど報道しないけれども、けっこうな爆弾である。
*
ウソをつくと、やはりロクでもないことになるのである。子どものころからそういわれて育ったのである。であるから「under control」のおかげのこの後ろめたさは暗く深い不安感になって心をさいなむのである。あんな大ウソをついてなにごともなく治まるわけがない。日夜そんな声がどこからか聞こえてくるのである。逃げることもままならず。迷信深い男なので。(了)
OCN モバイル ONE データ通信専用SIM 500kbpsコース
CMで話題のコスメやサプリがSALE中☆
【DHC】最大70%OFFのSALE開催中!
0 件のコメント:
コメントを投稿