メリー喜多川(89)という人物を、私は嫌いではない。もちろんそれは直接かかわりをもたず、ただ遠くから眺めていればおもしろいからで、これが身近にいたとしたら3日ともたない。早々に張り飛ばして出奔してしまう自信がある。おお、老婆に手を上げるなんて、なんて乱暴なことを。
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しかしほんとうの話、どうしても理屈の通らない人間というものはいるものである。まるで言葉が通じない、というやつである。裸の王様、暴君といわれようといっこうに気にしない。自分の考えややりたいことはいっさい、微塵も曲げないし妥協もしない。そしてその結果、どんなに人を苦しめることになろうと、不幸が訪れようと一顧だにしないのである。こういう人物は世の中にかなりの割合で存在している。
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ではメリー喜多川の場合は、人と衝突し、粉砕し、押しつぶしてまでなにをめざしているのであろう? バカバカしいほど単純である。「自分がいちばんエラい」である。それでどうなるこうなる、ということではなくて、なにはともあれただただ「自分がいちばんエラい」である。メリー喜多川の行動はすべからく「自分がいちばんエラい」ことの確認か誇示かのために行われている。
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たとえば、故森光子(享年92)の遺産相続の話である。森光子は生前、自分が死んだら遺産の一部をメリーに預けるという約束をしていたらしいのである。で、メリーはこれに自分のポケットマネーを足してジャニーズの保育所だかなんだかを設立する、という話になっていた。ところが森光子が逝去すると、あろうことか本人の遺言によって、その遺産は東山紀之(49)に相続されたというのである。
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メリー喜多川、烈火のごとく怒ったのだそうだ。で、葬儀の席で弔辞を読み上げたのは近藤マッチ彦(52)であった。誰もが予想した森光子とは「友達以上、恋人未満」の東山紀之ではなかったのである。とうぜん保育所だかなんだかの話もなし。はなはだ不謹慎ではあるが、やたらめったらにおかしい物語である。いくつになっても生臭く、かつ稚児のごとき老婆2人の物語である。橋田壽賀子(91)でドラマ化してもらいたいくらいのものである。主要登場人物全員、座ったままでピクリとも動かずに成立する。
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メリー喜多川、森光子の遺産などどうということもない資産家であるのだから、要するにメンツを潰されて怒っている、というふうにいわれているのである。メンツ? 故人と2人の私的な約束事にメンツ? 違うのである。これはメンツの問題ではなくて「自分がいちばんエラい」のにウソをつかれていたから怒ったのである。私を誰だと思っているのだ!!
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そうそう、話に出てきた近藤マッチ彦についても同じことがいえるのである。近藤マッチ彦はいまジャニーズ所属タレントのトップである。それでまあ、おかげさまでたいした仕事もしていないのに去年の「NHK紅白歌合戦」では『ギンギラギンにさりげなく』で白組のトリを務めたのである。こうした厚遇ぶりはずっと以前からで、しかもいささか尋常ではないのである。例の2015年1月の『週刊文春』のインタビューのなかでも、以下のやりとりが報告されている。
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《「うちの事務所のことわかっているの? うちのトップはマッチです。SMAPじゃありません。失礼なこと聞かないでください。飯島、うちのトップは誰!?」
「近藤真彦です」》
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“飯島”と呼ばれているのは、当時SMAPのチーフマネージャーであった飯島三智(58)である。インタビューの途中で突然呼びつけられ、その場に駆けつけていたのである。メリーはその飯島美智の口から“トップは近藤真彦です”といわせているのである。そこには、「自分がいちばんエラい」のに、当代人気ナンバーワンのアイドルSMAPを育て上げた飯島三智への強烈な嫉妬があるのである。
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さらにメリー喜多川は、このインタビューの締めくくりの部分で、近藤マッチ彦の母親との生前の交流を、あらためて文字通り涙ながらに語ってもいるのである。近藤マッチ彦が“ジャニーズ事務所の長男”と評されているのも、あながちうわべだけのお話しでもないのである。
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えっと、そこへいく前に、ちょうどこの2015年1月の『週刊文春』インタビューの飯島三智とのくだりの直後に、今回の飯島三智追放→SMAP解散のもともとの原因となった話が出てくるので、ご紹介しておきたい。
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《「ほんと不愉快。じゃあ飯島のところの会社、調べましたか。役員は誰ですか」
飯島氏の会社とは、ジャニーズの関連会社「ジェイ・ドリーム」のことである。主にSMAPなどの映像作品の制作・管理を行っており、代表取締役はジャニー氏。飯島氏が唯一、取締役に名を連ねる会社である。
――社長はジャニー氏。飯島さんは取締役です。
「また問題が起こったよ、飯島さん。ジャニーはクビにしたほうがいいんじゃない? だって、ジャニーは給料もらったことないし、書類も見たことないじゃない。会社も行ったことないじゃない?
私は飯島に言っているんです! ジャニーは会社に行ったこともないから、クビにすればと言っているんです。でも、それをあなたたちに『いい、悪い』と言われることないですよね。
私、飯島に初めて本気で怒鳴っています。何で私が社員と対立しなきゃならないんですか。それだけでもすごい失礼だと思うの。言葉遣いをもうちょっと考えてよ。私に失礼よ。
飯島に関しても私の管理の仕方が悪いんですよね。だから、みんな勘違いしちゃう。うちの娘と飯島が争うなら私は飯島に『出ていけ』と言うしかない。だって、飯島は私の子供じゃないんだもの。
皆さんの前で言います。ジャニーには(飯島氏の会社を)辞めさせなさい。私が迷惑するから。だって、ジャニー、自分が社長になっているの知らないんだもの。(飯島氏の)知らないところで言うのイヤだから。もし本当なら、SMAP全員呼んで話そうと言います。それぐらい大変なことなの》
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関連会社「ジェイ・ドリーム」が設立されていたことにメリー喜多川はある日気付いたのである。で、代表取締役になっている弟のジャニー喜多川に、これはいったいどういうことであるか、と問いつめたのである。するとジャニー、あろうことか怖さのあまり自分はなにも知らない、と答えてしまったのである。実際はジャニーズ事務所の将来を考え、SMAPと飯島美智が仕事しやすいように、とジャニーが設立させたのにもかかわらず。あるいは、メリーに対抗してジャニー派を固めようとしていたにもかかわらず。
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ともかく、アタマが上がらない姉ちゃんの怒りから逃れるために、ジャニー喜多川、咄嗟にとんでもないシラを切ってしまったのである。このあたりのところは『SMAP解散騒動の全内幕』(常田裕、宝島特別取材班宝島社/宝島社、2016年3月28日発刊)に詳しい。
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さて、メリーとしては、そんなことを聞かされれば、さては飯島三智、よくない企みをしているな、となってあたりまえである。「自分がいちばんエラい」メリー喜多川は嫉妬心に加えてさらに疑いと怒りの虜になり、飯島三智をあからさまに目の敵にしはじめたのである。
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あ、そうそう。例の“SMAPを連れて出ていけ”発言はこれの前に飛び出している。もう、ついでなので、そこのところもご紹介してしまおう。
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《「〜飯島を気にしている人はいっぱいいますよ。みんな。この人、怖いから。私の真似して私と同じように怖いの。私が怖いのとは違うと思うんですけど」
さすがに飯島氏が割って入った。
「ちょっと言わせていただくと、私が怖いという問題でなく、そのテレビ局の方が気にしているというのも、又聞きやネットとかの噂を真に受けている可能性があるのではないですか。私、一切そんな話をしたこともないですし、私にとっても名誉毀損になると思うんですよ」
飯島氏は“無実”を主張する。その発言にかぶせるようにメリー氏は、
「いや、すごい問題ですよ。だから、この人を呼んでいるのは、私、何にも(根拠)なしにね、『飯島、こういう噂だから、あんたクビだよ』と言うことはできない。今、ここでこういう話を聞いているから、飯島、私はこう言いますよ。『あんた、文春さんがはっきり聞いているんだから、対立するならSMAPを連れていっても今日から出て行ってもらう。あなたは辞めなさい』と言いますよ。」》
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うむ。メリー喜多川の行動はすべからく「自分がいちばんエラい」ことの確認か誇示かのために行われている、そして、近藤まっち彦が“ジャニーズ事務所の長男”と評されているのも、あながちうわべだけのお話しでもない、というお話に戻ろう。ああ、ほんとうにジャニーズの話は長くなる。長くなるので、いつも肝心の結論部分でゼンマイが切れてカンタンに終わらせてしまう。
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たとえばSMAPを分裂させたり解散させたりしても、事務所の経営的にはなんのプラスもない。売上は落ちるし評判も落ちる。マイナスだらけである。それでもメリー喜多川は「自分がいちばんエラい」ことを確認し、同時に周囲に誇示するために、それをやらざるを得ないのである。そこに私は信じ難いほどに膨れ上がったエゴ、というよりさらに一種のオブセッション(obsession=妄想。強迫観念)すら感じてしまうのである。
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ここからは私の妄想である。オブセッション。メリー喜多川が「自分がいちばんエラい」、エラくなければならない、というオブセッションを抱え込んだのには、たぶん子ども時代の家族関係が影響しているのである。メリー喜多川は長女であり、下に3人の弟がいた。いま残っているのはジャニーだけである。よくある話である。長女はただ長女というだけでワリを食うのである。弟たちに比べれば圧倒的な待遇の差がある。こうした傾向はいまもよくあるし、ましてやメリーの子ども時代は戦前である。理不尽な我慢を強いられていたであろうことはカンタンに想像できる。
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誰も私のことなど気にしてくれない、誰も私のいうことなど聞いてくれない。であるから、メリーはいつか家族のなかで「自分がいちばんエラい」存在になりたいと願うようになったのである。で、メリーにとっての家族とはジャニーズなのである。
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ここで近藤マッチ彦が“長男”といういいかたが重みを持ってくる。メリー自身の家族は作家の藤島泰輔(1997年歿。享年64)とジュリー景子(50)がいる。いるけれども藤島泰輔はメリーの専横を許すような男ではなかったし、3人家族では「自分がいちばんエラい」気持ちを投影できるほどの規模でもない。
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で、疑似家族としてのジャニーズなのである。ああ、はしょってしまっているのう。まあ、とりあえず私の妄想ということでお許しをいただきたいのである。細かく詰めていくにはまだ資料も足りないし。
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で、そういうわけなので、メリーにしてみれば理屈などどうでもいいのである。「自分がいちばんエラい」のに歯向かうヤツはただこひたすら許せないのである。反対に、なにかの拍子にヒョイと家族だと認めれば、それはそのまま裏切りでもされないかぎり、“目下の家族”として大切にされるのである。
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ヒョイと認められてしまった“目下の家族”は、近藤マッチ彦んちと、木村拓哉(43)んちである。まあ、近藤マッチ彦と木村拓哉にしてみれば、大親分に見込まれてしまったようなもので、この先ずっと忠誠を捧げ続けなければならないのである。少しでも反発したと受け取られようものならとんでもないお仕置きが待っているのである。でもってその他大勢のジャニーズタレント、およびスタッフはそれらを目撃させられる親戚、くらいの位置づけになるのであろう。
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したがって、メリー喜多川がある日突然に悔い改めて、ものわかりのいい、やさしいおばあちゃんになる、などということは絶対にあり得ないのである。誰がどういおうと、なにがどうなろうと、メリー喜多川はそういうふうにしか生きられないのである。死ぬまで。
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妄想ではあるけれども、いまの私は確信をもってそのように思う。なぜそう思うかといえば、ごく身近にそういう、メリーにとてもよく似た人物がいたからである。姉である。もう縁を切ってしまったけれども。まあ、事情は理解できても、どうしても受け容れられないことはあるのである。えっ!! それなら弟のお前はジャニー喜多川か? という思いやり深いツッコミを、いま通りすがりの知り合いから、いただいたのである。あら? いやん。(了)
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