一昨日の夜(2016年11月28日)、ASKA(58)が覚醒剤取締法違反容疑(使用)で逮捕された事件の関連である。それを受けた昨日のこのブログの最後に、私は「ASKAはなんだか妖しい世界への扉を開いてくれたようである」と書いた。その時点ではただ漠然として個人の思念のなかで異世界の扉が開いたというイメージがあった。
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で、その記事をブログに上げてからも“ASKAが開いたなんだか妖しい世界への扉”のことをなんとなく考えていたのである。それはいったいどういうことなのだろう? ASKAの妄想、狂気とはどういうものなのだろう? それをなんとなく感じ取ったということに意味はあるのだろうか? と。大げさじゃのう。とはいえASKAや自分のアタマのなかを覗くわけにもいかない。
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そうなると、考えることはおいおいナゾの盗撮・盗聴集団『ギフハブ』(notギブハブ)しかなくなっていく。ASKAが以前からブログで被害を訴えていたものである。この『ギフハブ』については『日刊サイゾー』(2016年11月29日配信)からの抜粋でご説明しよう。
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《28日午後に「警察が逮捕に向けて動いている」との一報が出ると、ASKA容疑者は自身のブログで「尿から、覚せい剤反応が出るわけなんてことは、あるわけがない」「これは、マスコミのフライングです。今は、これしかお伝えすることはありません」などと否定。さらに、『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)の電話取材に応じ、「『ギフハブ』っていう組織があるんです。ARっていう仮想現実なんですけど、僕のいるところを写したりして、僕の携帯の中にアプリが埋め込まれてたんです。その証拠も撮ってる」と主張。》
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ASKA、間違えておる。仮想現実はVirtual RealityつまりVRであってARではない。ARは Augmented Realityの略で「拡張現実」と訳されている。まあどちらも似たようなものであるけれども、違いを簡単にいうとVR(仮想現実)のほうはまったくの絵空事、 AR(拡張現実)のほうは現実にあるものに立脚してなにかを付け加えるものである。
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たとえば誰もいない部屋の映像に、その映像情報から自動的にプロファイリングした住人の姿を入り込ませたものがAR(拡張現実)で、3次元コンピュータ・グラフィックスで描いた人物を合成したものがVR(仮想現実)ということになる。
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AR(拡張現実)だとこの場合、たとえばマンションの一室で若い女が死体で発見され、部屋のなかには男ものの衣類などが残されていてどうも同居していたらしいのだけれども、その男が行方をくらまし素性もわからないといったときに、室内や衣類などの映像を撮れば自動的にそこに同居者にふさわしい男の姿が立ち上がってくる、という利用のしかたが考えられるのである。もちろんそれが可能になるほど技術は進んでいない。
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ASKAがここで語っているのは「僕のいるところを写したりして」とあるのでAR(拡張現実)のほうである。続いての「僕の携帯の中にアプリが埋め込まれてたんです。その証拠も撮ってる」という言葉の意味はちょっとわからない。けれども盗聴・盗撮に脅えていたのであるから、“携帯”が外部から操られていて知らないあいだに撮影・録音され、そのデータは自動的に解析されている、ということをいいたかったのであろうと思う。
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そうだよなー、盗聴・盗撮を疑いはじめると際限がないよなー、壁に耳あり障子に目あり、と漠然と想像していて気がついたのである。たぶんどこにいてなにをしていようとすべて筒抜けにされる時代が目前に迫っているのである。というか、すでに技術的には可能になっているのかもしれない、と。
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IoT(Internet of Things = モノのインターネット)というものがある。スマートフォンで外出先から自宅の家電を操作するとかいうものである。もうひとつ、PLC(Power Line Communication=電力線通信)がある。一般家庭にもあまねく引き込まれている電力線を通信回線として利用する技術である。わざわざインターネット用の回線を用意しなくても、コンセントさえあればどこからでもインターネットにアクセスすることができる。
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PLCとIoTの技術を使えば家電ばかりでなくすべての電気機器は乗っ取り可能になるであろう、と思うのである。洗濯機を爆発させることもできるかもしれないし、大都会を完全に停電させることもできる。もっぱら破壊を志向する人工知能を埋め込んだウィルスをIoT上に放てばただちに文化的な生活とはさよならである。原子炉を暴走させることもできる。いき過ぎか。
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ともかく、そうした状況でいつまでプライバシーは守られるのか? 盗聴・盗撮の脅威の及ばない空間は確保できるのか? といえばはなはだ心もとない。うむ。丸見え丸聞こえにされるまでに残された課題は端末のセンサーをどうプライベートな空間に仕込むかしかないような気がする。
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おお、そんなようなワケだからスマートウォッチみたいなウェアラブル端末(wearable device=体や衣服に装着した状態で利用する携帯情報端末)をさかんに普及させようとしているのだな。無意識に、どこにでもカメラやマイクを持ち込ませようとして。あ、だんだんASKAに近づいてきてしまった。あぶないあぶない(by福田和子・享年57)。
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だがしかしマジメな話、こうした事態は盗聴・盗撮をやたら無闇に怖れる人々をいままで以上にたくさん生み出すのではないか、と危惧するのである。現実に、私たちのすべてが丸裸にされる日は目の前にまで迫っているのである。この脅威からは逃れられない。これの恐怖、不安に対して理系の知識に疎い人間はイチコロである。あ、文系の知識に疎くてもイチコロにならない保証はない。私は両方疎い。そしてその恐怖、不安の扉を開けたのが、思うにASKAなのである。
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このたぐいの盗聴・盗撮の話は、ずいぶん以前から都市伝説めいた噂として流布されてもいる。これは『日刊サイゾー』(2016年7月23日配信)からの抜粋である。いささか長いけれども盗聴・盗撮問題の周辺事情を知るにはいいと思う。
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《一般的に薬物乱用者は被害妄想が激しくなるといわれており、ASKAの被害告白をまともに受け取る人々は少ないが、それとは別に、マスコミ周辺にハッキング集団の存在がささやかれ始めている。芸能記者は「最近の『週刊文春』(文藝春秋)がネタにしているタレントのLINE画面は、そういう連中から買ったという説がありますし、実際に売り込みがあったというメディアもある」という。
過去、芸能人やマスコミ関係者ばかりを狙ったハッキング集団の存在を、「実話ナックルズ」(ミリオン出版)などでたびたび取り上げていたフリーライターの藤堂香貴氏によると「実際に被害の事実を見せてもらったことがありますが、ひどいのになると行く先々で居場所を特定したメールが届いたりするんです。その目的はさっぱり不明ですが、海外ではネットを利用して特定の人物にしつこく付きまとう犯罪がサイバーストーキングという名で知られています。ただ、日本ではまだなじみが薄く、被害に遭っていない人に言っても信じてもらえず狂言扱いを受けたり、失笑されたりして終わるので厄介」だという。
〈略〉
同氏が過去に取材した中では、2009年に自殺したタレントの清水由貴子さんが死の直前、関係者に残した手紙にサイバーストーキング被害を訴える記述があったり、08年に自殺したアナウンサーの川田亜子さんもまた、死の数カ月前に、警察に対し同様の被害を訴えていたことを知ったという。
「この種の被害に遭うと、精神的に病んでしまうことが多いようです。マスコミ関係では、深夜のバラエティ番組をヒットさせたテレビプロデューサーのS氏も、似たような被害を受けて一昨年に休職しましたし、芸能界の権利問題を書いていたフリーライターのH氏もサイバーストーキング被害がもとで疑心暗鬼になり、精神不安定気味になって、あちこち『僕を追跡している集団に協力してないですか?』なんて電話をかけまくっているんです。逆に、自分の居場所や行動を言い当てるメールが届いても平然としていられる人は、気に留めないので、被害の数に入ってこないんですけどね」(藤堂氏)
最近はSNSを通じてタレントに付きまとうという被害も目立ってきたが、今回の話はそれとはまた別の次元。聞いたところでは、元AKB48の光宗薫や、元オセロの中島知子も似たような盗聴被害を訴えていたというが、いずれも「精神的に疲れていた」という扱いで済まされてしまっている面々だ》
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うむ。さてどこまでが本当か? というところである。「この種の被害に遭うと、精神的に病んでしまうことが多い」というけれども、逆に精神的な病が盗聴・盗撮の妄想を生んでいる可能性も高い。懐疑的にならざるを得ないのは、ASKAの場合でもそうなのだけれども、誰がなんのためにそんなことをしているのか? がいまいちはっきりしないからである。
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これは思うに、現実世界がネット空間に包囲されてしまっているという感覚から生まれてきた部分が大きいのではないのであろうか。そしてネット空間は魑魅魍魎が跋扈する暗黒であり無法、無秩序、混沌であるというイメージ。文字通り疑心暗鬼である。
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しかし私個人はいくら盗聴・盗撮されようが平っちゃらなのである。私には恥、恥ずかしいということがあまりないのである。一方で気は小さいのであまり大胆なことはできないけれども、たとえばオナニーをしているところを見られても平っちゃらである。であるから夏の暑い日にわざわざ衣服を着て靴を履きオモテに出るというのは、私にとっては教養のなせるワザなのである。またいい過ぎか。
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いやいやしかし考えてみればこれはずいぶんたいへんな出来事なのである。ヒトは機械の耳や目にもう抗えなくなるのである。逃れられない。2016年11月28日はヒトとモノの主従関係が逆転したとはじめて明瞭に意識された日である。そして、はい。ベタではあるけれどもこの意識は必ず現実化するのである。
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あの日、2016年11月28日は、人類史上最大そして最後のターニング・ポイントであったのである。人類史自体もうそんなに長く続かないだろうし。さあみんな! 恥を捨てよう!! あんなこともこんなことも人間ならみんなやっていることなのである。“やる”ことが人間に残された唯一の特権なのである。うむ。なかなかいい結論ではないか。(了)
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