ここ数年、ニュースなどに関するお笑い芸人のコメントを聞く機会がとても増えました。テレビ、ラジオ、週刊誌など他メディアからの使い回しが中心のネットニュースでも、もちろん頻繁に目にします。
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たいへん申しわけのないいいかたをしますけれども、思いつきの感想レベルにすぎない芸人の言説がなぜもてはやされるのでしょうか? そんなの、簡単便利だからに決まっている? おっしゃる通りです。
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でも簡単便利だからといってカップ麺ばかり食べていては栄養が不足し、偏るように、これでいいのか? という問題はあります。たぶんけっこうシリアスです。お笑い芸人だからといって笑ってばかりはいられないコメントについて、このあたりでいちど整理しておきましょう。あー、我ながらジジ臭い。
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メディアがお笑い芸人のコメントを重宝がる理由を列記してみます。
1)放送ルールが身に付いている
ある程度キャリアのある芸人であれば、不用意にNGワードが飛び出す心配がありません。また、世間の風の読み方にすぐれ、一般人の考え・感性に馴れている人も多いようです
2)芸能界のルールに忠実である
事務所やタレント同士の力関係や業界タブーに精通しています。そのうえでのコメントのサジ加減ができます
3)面倒くさい理屈をいわない
あるいは、いえない。こみ入った話でも適当に大掴みにして話す話術をもっている人はやはり便利です
4)いつも変わった視点、切り方を考えている
ニュースにコメントするには、ボケとツッコミの両方が生かせます
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そして、これらお笑い芸人のコメントを聞かされている世間や「テレビ視聴者界」に何が起きているかというと、まあ、マスメディアで流されるコメント全般にいえることでとくにお笑い芸人だから特別というわけでもないのですが、次のようなことです
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a)意見や感想のサンプリングがさかんに行われる
自分で言葉を探し出し、意見として組み立てる努力がなおざりにされがちになります。結果、コミュニケーション能力が低下します
b)モノゴトへの対応が感覚的になる
いちおう論理的に考えてはいるのですけれども、「論理」の質が感覚に寄っていく、というか最後まで論理で貫き通すことが難しくなっているようです。特定のサークル内でしか通用しない「論理」も増えています
c)メディアに頻繁に取り上げられる業界、とくに芸能界に精通した気分になり、帰属意識までもつ
現実よりもむしろメディア空間に比重を置いて生きる人が増えています
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さて、具体的にどういうことかといいますと、『トピックニュース』(2016年5月27日配信)にちょうどよい見本がありましたのでご紹介します。
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タイトル:
[矢作兼 不倫を叩く人の本音を指摘「人気者を引きずり下ろしたいだけ」]
《27日放送のラジオ番組「おぎやはぎのメガネびいき」(TBSラジオ)で、おぎやはぎの矢作兼が、芸能人の不倫を叩く人々の本音を指摘する場面があった。
番組では冒頭から、おぎやはぎのふたりがドランクドラゴン・鈴木拓の不倫疑惑を話題にした。20日発売の「FRIDAY」が、妻子のいる鈴木が女性と一緒にディズニーランドをデートしていたと報じていたのだ。鈴木の所属事務所である人力舎は「彼女はただの女友達です」とコメントし、疑惑を否定している。
先週20日の番組でも矢作は、鈴木の報道では話題にならないと話していたが、世間の反応もその通りに推移した。26日の放送で矢作は、「良かった」と思う反面、「世間って俺のことなんとも思ってないんだ」という悲哀を感じたのではないか、と鈴木の心境に思いを馳せた。
続けて矢作は、この一件で「すごく分かったこと」があるといい、「やっぱり世間っていうのは、不倫を叩くっていうよりか、人気のある人を引きずり下ろしたいだけなんだね!」「好感度のいい人を引きずりおろしたいんだね」と指摘したのだ。鈴木の不倫を叩いて、引きずり下ろすことに対し、世間の人は「やりがいがない」と感じるのだとか。
矢作はベッキーの騒動を持ち出し、不倫騒動は好感度の高い「いい人」を引きずり下ろすきっかけなのだと語る。そして最後に「世間のみなさん、もうちょっと、拓の不倫を言ってくれないかなぁ?」「拓がホッとしてると思うと、こっちが火を付けたくなる」と悔しさをにじませていた。》
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ネタとして話していることなので目くじらを立てるのも野暮なのですが、ここでイチバン芸人らしいのは、「不倫」を「叩く」と表現して違和感がないことです。たぶん口にしている本人にも聞かされているほうにも。
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もういちど矢作兼(44)の言葉を見てみましょう。「やっぱり世間っていうのは、不倫を叩くっていうよりか、人気のある人を引きずり下ろしたいだけなんだね!」「好感度のいい人を引きずりおろしたいんだね」。そして、この記事のタイトルは「不倫を叩く人の本音を指摘『人気者を引きずり下ろしたいだけ』」になります。
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「叩く」という言葉には、“ダメージを与える”、“思い知らせる”などという意味があります。ですから、もともと「引きずり下ろしたい」という意味合いも含まれているわけです。つまり矢作兼やこの記事のタイトルがいっていることは、「引きずり下ろす人は引きずり下ろしたいだけ」とほぼ同じで意味がありません。
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これ、もし木村太郎(78)なんかが「不倫」を「叩く」と口にすると、はっきりと、ああ、これはあらかじめ批判的な立場にたって評価するのだな、とわかります。矢作兼がそこのところを厳密に突かれないのは、ただお笑い芸人だからです。蔑視しているわけではなくて、お笑い芸人は正しく語ることが仕事ではないということです。
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でもって、「やっぱり世間っていうのは、不倫を叩くっていうよりか、人気のある人を引きずり下ろしたいだけなんだね!」ということは、一面で真実でもあります。ただ引きずり下ろして溜飲を下げたい、または嫉妬心を開放したい、という人もいるでしょぅ。
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しかしそれはやはり一面であって、すべてではありません。道徳観、倫理観からきちんと批判しておかなければならないと考えている人も大勢いるわけです。そこが矢作兼にはきちんと腑分けされていないのです。
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つまり、矢作兼がいっているのは批判する人全体を指しながらも、具体的には「叩く」人についてなのです。それが、いいこというよなー、矢作兼も、みたいなことになってくると困る、という話です。
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あと、ここで続けてドランクドラゴン鈴木拓(40)が出てくるところが、いかにも業界のルールに精通し、またそれに忠実なお笑い芸人らしいところです。鈴木拓なら、自分たちが不倫の話題で持ち出しても問題にならない、もしかすると鈴木拓も喜ぶかもしれない、というヨミがあります。
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不倫だけど話題にならなかったといえば、昨年正月に不倫疑惑をスクープされ、その後、重ねての“疑惑の激怒会見”をしただけの神田正輝(66)と三船美佳(33)の話くらい持ち出さないといけません。鈴木拓だなんて、たとえ話にしてもつまりませんねー。業界のルールに忠実。
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しかし、です。話は変わりますが、その石原プロもどうやらいよいよヤバいのではないか、という噂が一部で飛び交っているようです。どこから出た噂かというと、石原プロ得意の炊き出しが最近、行われていないかららしいのです。そういえば今年は宮城、そして熊本でも行われていません。正輝、頑張らないと。
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ああ、それからまたまた付け足しのようですが、ベッキー(32)のその後です。5月26日配信の『アサ芸プラス』によりますと、『しくじり先生 俺みたいになるな!』(テレビ朝日)はやはり本気で出演オファーを出したらしいです。もちろん断られましたけれど。つまらないバラエティよりこっちの話のほうがおもしろいです。
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それでベッキー復帰の可能性はどうなのでしょうか? 『アサ芸プラス』の記事は、“しくじり先生”の話題にふれる前にこう書いています。
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《『金スマ』放映後、番組スポンサーへは『ベッキーの出演を認めるということは“不貞”を容認するということか!』といったクレームの電話がかなりあったとか。放送したTBSにも1000件以上の抗議が殺到。今や“ベッキー=不貞”というイメージがついているため、子どもたちから『不貞って何?』と聞かれ、返答に困った親たちが大勢いたようです」(広告代理店関係者)
復帰を焦る事務所の思惑とは裏腹に、TBSへの抜け駆け復帰したことで他局は総スカン。とりわけレギュラー3番組を抱える日本テレビは大激怒しているという。そんな中、あの番組がオファーを出したとの情報が!》
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このままでは、かなり厳しい状況のようです。酷なようですがとうぜんです。それにしても「子どもたちから『不貞って何?』と聞かれ、返答に困った」というフレーズは、ベッキー関連の苦情の常套句となった観があります。なにも子どもを引き合いに出さずとも、ふつうに自分の考えでお話をすればいいと思うのですが、いかがなものでしょう?
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おっと!! ここでエラそうにこんなことをいっている私は、前述の「とくに芸能界に精通した気分になり、帰属意識までもつ」人間そのままではないか、ということに、いまふと気がつきました。「現実よりもむしろメディア空間に比重を置いて生きる人」かー。ふむ、冷めるー。では、唐突ではございますが、これにて失礼!! (了)
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