2016年5月24日火曜日

『I seek / Daylight』大ヒットでも騒がれない「嵐」の課題



「嵐」の最新シングルがまたまたのビッグセールスです。5月30日付の「Billboard JAPAN週間セールスシングルチャート」によると、なんと73.4万枚です。しかもこれ、確認ですが1週間での実績です。おめでとうございます。あ、タイトルは『I seek / Daylight』ですね。



[Billboard JAPAN週間セールスシングルチャート“Top Singles Sales”]
(2016年5月30日付)


1位. 嵐『I seek / Daylight』 73.4万枚

2位. SHINee『君のせいで』 4.6万枚

3位. 速水奏『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER 02 Tulip』 2.8万枚

4位. 安室奈美恵『Mint』 2.4万枚

5位. バンドじゃないもん!『キメマスター! / 気持ちだけ参加します。』 2.2万枚

※表示枚数は概数



まさにケタはずれの売れ方です。ひとケタ上がって、さらに×1.6倍。なんといいますか、オトナと子ども、進撃の巨人とノーム、ランキングやチャートの意味がないくらいのものです。ジャニーズ事務所がフル配信に消極的だという事情を考えあわせても、この時代、1週間で70万枚以上売るというのはまさに驚異です。



ちなみに5位の「バンドじゃないもん!」は「神聖かまってちゃん」のドラマー、鈴姫みさこを中心にした6人組アイドルです。犬山紙子(34)のダンナ劔樹人(「神聖かまってちゃん」マネージャー兼企画担当・37)のしわざでしょうか。少しは存在感が示せてなによりです。



そんなこんなでおめでたいことづくしのような新譜『I seek / Daylight』ですけれども、世間さまの反応はいたってクールです。Yahoo!ニュースにも、Googleニュースにも上がってきませんし、ワイドショーのニュースにもなっていません。2位にひとケタ違いで×1.6倍のトップなのです。おそらくこんなことは日本芸能史上はじめてなのではないでしょうか?



世間のクールな反応の理由はいろいろ考えられます。「嵐」とはあまり関係のないところからいくと、CDセールスそのものが、時代の流れの中心からすでに外れてしまっているということ。まあ、カセットテープと同じ扱いです。いくら売れても、それは時代の片隅の出来事というわけです。



音楽そのものについても状況は似たようなもので、いいのか悪いのか、ほとんど空気のようなものとして受け取られています。音楽に対峙するということがありません。そして音楽自体の存在感もありません。



もうひとつの理由は、マーケティングのやりすぎです。曲をつくるにしてもCDを売るにしても客層を細かく分類、設定し、ピンポイントで狙っていくやりかたが、流行としての広がりを失わせています。



あ、流行というのもとっくに死語でした。たとえばヒット作というのも、対象と期間がごく限定的な“当たり”でしかなくなっています。なんの先端かわかりませんけれども、とにかく先端をいく人たちから火がつき、そして大衆化し、やがては陳腐化していくといった流れが形づくられるほどのんびりした時代ではいないのです。



ここからは直接「嵐」の話になります。今回の新譜『I seek / Daylight』は大野智(35)主演の水曜ドラマ『世界一難しい恋』(日本テレビ)の主題歌『I seek』と、松本潤(32)主演の日曜劇場『99.9 -刑事専門弁護士-』(TBS)の主題歌『Daylight』のカップリングです。主題歌×2の豪華版両A面です。ある程度は売れるべくして売れた、といってもいいでしょう。



ですから、これは印象としてですけれども、ニュースにするにはあまりにも作為的、人為的すぎる感じがしてしまうのです。これだけの快挙であっても意外性に欠けています。これもまたマーケティングのやり過ぎです。



で、1週間で73万枚を売る大ヒットであっても、興味のない人はまったく知らない、という事態になります。ゲームセンターに集まるお年寄りも知らなければ、幼稚園に通うチビッコも知らない。あるいは「嵐」というグループ自体よくわからない、という人たちもいます。会社勤めの50代とか。



そしてついに、いまやこうした事態そのものが、「嵐」の前に乗り越えなければならない壁として立ちはだかっているように思います。年間約330億円を売り上げるとか、ファンクラブの会員数が約190万人だとか、今回のようにCDを出せば2位にひとケタ違いで×1.6倍、あ、そうか。つまり2位の16倍も売ってしまうとかいうことがあっても、なにかもの足りないのはそこなのです。贅沢な悩みですけれども。



これほど素晴らしい実績を残しても、申しわけありませんけれど、国民的スーパーアイドルグループというにふさわしい鮮やかな印象が「嵐」にはありません。記録には残るけれども記憶には残らない、というやつでしょうか。



さらにいえば、時代にコミットしている感じがありません。ファン以外の人たちにとって、この曲を聴くとあの時代を思い出す、というものがないのです。ですから、桑田圭祐(60)や松任谷由実(62)や中島みゆき(64)や、さらにはDREAMS COME TRUE(1988〜)ほどの大物感もないということになってしまいます。すんごく売っているのに。まあ、較べる相手がトシといえばトシですけど。



それじゃあいったいどうすりゃいいの? です。それは「物語」を語っていくことだろうと思うのです。さまざまな「物語」を通してメンバーの個性や考え方、生き方などを知ることができれば、さらに深い共感や連帯が生まれてきます。そしてそれは、より多くの人々に「嵐」をよりよく知ってもらうことにつながります。



タレントのプライベートをつまびらかにすることは、ジャニーズの方針からいえばほとんどタブーです。しかも事務所のなかでもさらにガードの固い「嵐」ですから、メディアがそうした「物語」を独自の視点で語るということも、これまでにはありませんでした。



それを補うかのように、楽曲など作品の製作にまつわる「物語」は、たびたび語られています。しかし残念ながら、それはとてもリアルといえるシロモノではありません。まさに昭和の時代を思い出させるような、ヨイショ記事、チョウチン記事のたぐいばかりです。



ちょうど『女性セブン』(6月2日号)に、今回の『Daylight』のラップ部分を担当した櫻井翔(34)のコメントが掲載されています。少し長くなりますが、これが「物語」といえるものか、まずはお読みいただきたいと思います。



《新曲の制作秘話を嵐の櫻井翔が明かした。
「ドラマの主題歌、久しぶりですよね。『青空の下、キミのとなり』(ドラマ『ようこそ、わが家へ』フジテレビ系)以来。ドラマをやってくれるメンバーがいてありがたいですよね! しかも2人も! おかげでCDもリリースできますからありがたい限りです(笑い)」

嵐のラップ担当である櫻井のラップは“サクラップ”といわれ独特な個性を生み出している。本人曰く“職業ラッパー”だと言うほど、年に5~6曲(アルバムなどで)書いているそう。
今回松本は、自身のドラマの主題歌である『Daylight』にラップを書き足してほしいと櫻井に依頼してきたのだとか。

「もともとラップのない曲だったんだけど、パーソナルな視点がほしいと。つまりはドラマの主人公の気持ちを反映してってことなんだけど、この曲でラップを書いてほしいと言われたのはビックリしたね。
シングルだとかなりハードルが高くって、何人ものドラマのスタッフ、うちのスタッフが集まって決めた曲を、そこから工事していく。アルバムとか嵐だけの思いがのったものとはまたわけが違うじゃない?
だからそれをオーダーしてくるっていうのはなかなかだなって。ってことは、すなわち外堀をかためられて、オレこれ断れねーんだなって(笑い)。だからうれしいっていうより、最初はおどろいたって感じかな。松潤から依頼されてOKしたその日にスタッフから2話分の台本が渡されてたの。その台本を読んで書いたって感じ。
初めてだったんだよ、自分が出てない作品の台本を読むって。読んだときの気持ちは2つあって、どれにも自分が当てはまらない台本って初めてだったから、しっくりこないっていうか、誰を主軸にして読めばいいかがわかんなくて“よくわかんねー”っていうのが1個。
あとは相反する話だけど、誰かに感情移入しながら読まないから、すごいフラットにドラマ全体が見られるっていう。おれはしたことがない経験だったから面白かった。台本はね、お酒飲みながら読んでて、すげー楽しかった。むしろ早く全話分台本くれないかなって思ってる(笑い)。もしくは最終話くらい出してくださいよ! って。でも…出られないときのがっかり度がハンパないから、この話膨らますのはやめましょう!(笑い)」》



あのー、ライターの力量のせいもあるのでしょうが、いったいなにがいいたいのか、さっぱりわかりません。ほんとうに取材したのかさえ疑わしい感じです。しかしあえてそこを推測してさしあげれば、櫻井翔(34)の“アーティスト性”をアピールしようとした、というところでしょうか。



ヨイショ記事、チョウチン記事に文句をいってもはじまりませんけれども、しかしそれを承知のうえでまじめに取り合えば、櫻井翔の“アーティスト性”は、仕事の立ち上がりのやりとりにはないわけです。そこのところは、「嵐」の一員としてラップ部分を担当したというだけのお話でしょう。



もしマジメに書くつもりなら、掘り下げなければならなかったのは、ラップ部分の詩そのものについてです。櫻井翔はラップになにを託し、なにを表現しようとしたのかを聞かないで“製作秘話”とはいかがなものでしょう?



つまりこういうことです。これでは、松本潤が櫻井翔に依頼したという話も、櫻井がラップをつくったという話までも眉唾ものっぽくなってしまいますよ、ほんとうは専門家が製作したものに、メンバーが絡んだように見せかける衣裳を着せているだけのように見えますよ、なぜこの21世紀にこんな白々しいヨイショ記事、チョウチン記事を読ませられなければいけないの? ということです。



ほんとうのところはわかりませんが、とにかくそう見えます。それで、こうした記事がいまでも通用するとジャニーズ事務所側も思っているところに問題があるのです。これではファンが共感する「物語」が生まれるはずもありません。ファンとしてはバカにするなと怒ってもいい稚拙さです。



いまでも十分に巨大な「嵐」が、さらに一歩前進して血の通った国民的なスーパーアイドルグループになるには、こんなくだらない記事を流通させるのではなく、メンバー一人ひとりの「物語」やメンバー同士の「物語」を怖れずに語って、立体的な「嵐」像を形づくることです。



いつまでもいつまでも王子さまは白馬にまたがってやってくる時代ではないわけです。この世に生きていればとうぜん父と母がいて、兄弟などもいて、学校にも通ったし、遊びもしたわけです。そうしたすったもんだのなかに時代というものは息づいていて、ひとりの人間としての「嵐」メンバーの思いも浮かび上がります。



アイドルが生身の姿を晒すことは、たぶんたいへんな冒険なのでしょう。これまでに前例がありません。というか、男性アイドルの場合、ずっとジャニーズの寡占状態ですから、過去の実績といえばジャニーズのやり方しかないのです。それ以外のやり方でうまくいくかどうかは未知数です。



しかしそのリスクを取らないと、「嵐」にこれ以上はありません。「嵐」はそこまできてしまっています。年齢的にも、せめて子ども時代を振り返るくらいにはいい頃合いです。個人的には、大野智か相葉雅紀(33)の幼年期のお姿を拝見してみたいものだと思っております。いかがでしょう? ぜひひとつ、よろしくお願いしたいものであります。(了)


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