2015年6月5日金曜日

恋人もじき年をとる。茶や貫一のように


あの人はいま、とか健康、医療だとか散歩とか、最近のテレビはほんとうにジジババ臭い。65歳以上人口3277万人、高齢化率26.0%の日本ならではだろう。



時間はたっぷり、金にはいくばくかの余裕がある年寄りが増えれば、そこをターゲットにした番組企画もまた増える。あたりまえのことである。しかし高齢化時代のテレビというのは、どうもそれだけに収まらないようなのである。テレビ自体がジジババ臭くなってきたのである。



たとえば5月にTBS系で放送された「私の何がイケないの?SP」である。加藤茶(72)と綾菜(27)の年齢45歳差夫婦である。以前から加藤茶には重病説が囁かれていて、それはいわゆる財産目当ての“後妻ビジネス”に嵌まったからだという憶測まで呼んでいた。つまり、綾菜が過重労働を強いたうえに、故意に健康を害するような生活をさせているというのである。



そんな疑惑のなかテレビに出てきた茶と綾菜は、重病説について、服用していた薬の一部が体質にあわず「パーキンソン症候群」を発症していたと説明した。また、茶は綾菜と結婚する以前にすでに稼いだ金は蕩尽し切っており、保険にも入っていないのた゜そうである。



つけ加えると「パーキンソン症候群」のために、昨年の茶は「ロケの前日に手足が震えていた。ロケから帰ってきたきたらご飯も食べることができなかった」(by綾菜)ほどの状態に陥ったそうである。オイオイっ、と。そんな状態でなぜ仕事に行かせたのかっ、と。それをまた疑惑を晴らしにきたはずのテレビでどうして喋るのかっ、と。



しかしこの、なんだか常識外れにずさんな感じこそが、茶&綾菜のテレビコンテンツとしての本質なのだろう。疑惑にさらに憶測を呼び、膨らみと奥行きを感じさせて、ズルズルと長もちさせてきたのである。脇道ににそれてしまった。



同じ番組にもう1組の夫婦、栗田貫一(57)と大沢さやか(41)が出演していた。貫一のさやかに対する「殺してもいい?」「(離婚は)上等だよ。いらいらしなくてすむ」などの暴言や、買物荷物をすべてさやかに持たせる超亭主関白ぶりが話題である。



今回の番組登場は、貫一のようすに「脳の血管が切れているのではないか」と違和感を抱いたさやかの希望で、脳検査を実施した、というものである。突然激昂したり、突如独断で車を購入したりということがあったらしい。



検査の結果は「前頭側頭型認知症の疑い」である。前頭葉、側頭葉の一部が萎縮し、性格や人格まで変ってしまうことがあるらしい。で、なんとなく納得した雰囲気になったわけである。



しかしこれ、考えてみれば茶にしろ貫一にしろ、こっちは要するに年寄りの病気に振り回されていたわけである。これがキー局TBSのスペシャル番組か? 全国放送の電波を使ってやることか? こんなものは年寄り同士が栗饅頭でも食いながらやる茶飲み話ではないのか? と。



いやいや、茶の間のもう1人の家族、テレビも年を取ってしまったのである。この年寄り、垂れ流すのは誰彼の若い嫁の噂だったり病気の話だったり、人の懐具合の憶測ばかりだったりするのである。それをこちらも背中を丸めウンウン頷いて聞いているのである。「まあ、みんな仲よくやってくれればそれでええ」なんて呟きながら。不気味で素敵な光景である。



テレビの若返りは、とりあえずというか、やはり団塊の世代がこの世から去るまでは厳しいのだろう。だからそのあいだの暇つぶしに「たそがれニャンニャン」とか「晩秋のオールスター感謝祭」とかやってくれると喜んじまうのだが。



で最期は、日本テレビ「ズームアウト!!」から「ポックリ!!」の流れだな。茶の間の年寄りテレビが突然ブラックアウトするのである。   (了)




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